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» 2020年10月20日 07時00分 公開

見えない飛沫、正しく回避 スパコン「富岳」で可視化 (1/2)

理化学研究所の研究チームが、スーパーコンピューター「富岳」を使ったシミュレーションで「歌は5分でせき1回分の飛沫が飛ぶ」「会話中、感染者が相席者に均等に話しかけた場合は隣の席が最も飛沫を浴びやすい」などの結果が得られたと発表した。

[産経新聞]
産経新聞

 理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」で新型コロナウイルス対策の評価を進める同研究所などのチームが発表した飛沫に関するシミュレーション結果。マスクによる感染予防効果や飲食店のテーブルでどこに座ると飛沫を受けるリスクが高いかなどを分析した。見えない飛沫が可視化されていることで、日常生活を送る上でも参考になりそうだ。理研の坪倉誠チームリーダー(神戸大教授)は「感染リスクがどこにあるのか、それに対してどういう対策を取ればいいのか啓発したい」と話している。

photo 会話をしているときの飛沫のシミュレーション(理化学研究所、豊橋技術科学大、神戸大提供)

20分会話で咳1回分

 会話しているときと歌っているとき、そして、せきをしたときでは、飛沫の飛び方はどう違うのか。

 会話をしたときなどに飛ぶ飛沫には、床や机などにすぐ落下する比較的大きな飛沫と、粒の大きさが5マイクロメートル(1マイクロは1000分の1mm)程度以下で空気中を長時間漂うエアロゾルがある。

 会話では1分間に約900個の飛沫、エアロゾルが飛び、歌の場合は1分間に約2500個飛ぶ。一方、強いせきを2回すると、合計で3万個ほどが飛ぶことが分かった。

 20分程度の会話をすると、せき1回と同じ程度の量が発生。歌唱しているときには会話と比較して数倍が、より遠くまで飛び、カラオケ1曲ほどに当たるおよそ5分でせき1回分が飛散するという。

photo 歌っているときの飛沫のシミュレーション(理化学研究所、豊橋技術科学大、神戸大提供)

 また、歌唱時を想定し、マスクやフェイスシールド、マウスガードでどの程度飛沫の飛散を防げるのかについてもシミュレーションを実施。フェイスシールドやマウスガードはマスクと比べ、相当量のエアロゾルが漏れ出ていた。

 坪倉氏は「いずれにしてもエアロゾルは漏れてしまう。大きな飛沫への対策とは別に、小さな飛沫への対策を考える習慣が大事だ」とし、マスクなどの装着と換気をあわせて行う必要があるとしている。

隣席が最も危険

 感染拡大を防ぐため、営業時間や酒類の提供時間短縮などが求められてきた飲食店。「密」になりやすく、言葉を交わす機会も多い状況で、感染リスクも高い。

 シミュレーションでは、飲食店でテーブル(縦60センチ、横120センチ)を4人で囲み、うち1人の感染者が、正面、はす向かい、隣の相席者に向かって1分間程度の会話をしたケースを想定。座る場所によって届く飛沫の数がどう違うかを調べた。

 その結果、飛沫は話しかけた相手に対して真っすぐに飛ぶ性質が強いことから、話しかけた人以外にはほとんど到達しないことや、感染者が相席者に均等に話しかけた場合には隣席にもっとも多く届き、次いで正面、はす向かいの順になった。隣は正面に比べて5倍の飛沫が届き、はす向かいは正面の4分の1程度に減ることが判明した。

photo 飲食店のテーブルで感染者(手前)の正面に座った人が浴びる飛沫のシミュレーション(理化学研究所、豊橋技術科学大、神戸大提供)

 ウイルスを想定した「新しい生活様式」として、「食事は対面ではなく横並びで座ろう」と推奨されてきたが、状況に応じた対策が必要となりそうだ。

 坪倉氏は「隣の人との間にパーティションを立て、前方への飛沫はマウスガードなどで抑えるといった対策が有効ではないか」としている。

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