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» 2020年10月22日 07時00分 公開

米Google提訴、日本での規制論議に影響も

米司法省が米Googleを独占禁止法違反で提訴した。日本も巨大ITへの規制について議論を行い、デジタル・プラットフォーマー取引透明化法を成立。今後は公正取引委員会が欧米に歩調を合わせて規制を強化するかどうかが焦点になるとの見方がある。

[産経新聞]
産経新聞

 米司法省が米Googleを独占禁止法(反トラスト法)違反で提訴した。日本でも、巨大IT企業への規制強化を巡っては2020年5月に新法が成立するなど、政府がデジタル市場のルール整備に取り組んでいる。訴訟の動向は、日本での規制を巡る論議などに影響を与える可能性もある。

 「関心を持って注視していきたい。国際的な動向を踏まえながら、しっかりとしたデジタル市場のルール整備を図っていきたい」。加藤勝信官房長官は21日午前の記者会見で、今回の提訴に関してこう述べた。

 日本の独禁法の運用機関である公正取引委員会の菅久修一事務総長も21日の会見で「今後の訴訟の動向をしっかりとみていきたい」と話し、巨大ITのサービスに関する実態調査に米国の動向を反映させる考えを示した。古谷一之委員長は9月の就任会見で、巨大ITによる「反競争的な行為に対しては厳正に対処していきたい」としている。

 政府は19年秋、巨大ITへの規制を議論するデジタル市場競争本部を設置。欧米を中心とする海外での規制強化の潮流も踏まえ、ルール整備を図ってきた。

 新法のデジタル・プラットフォーマー取引透明化法は5月に成立。取引先との契約更新時に事前説明を求め、国への毎年の状況報告も義務付ける。個人データを利用する企業の責任を重くした改正個人情報保護法も6月に成立。公取委は企業買収の審査に関し独禁法のガイドランを改定した。

 また政府は、インターネット広告に関して6月に中間報告を公表。今冬の最終報告に向けて、具体的な対策の検討を急ぐ方針だ。

 独禁法や競争政策に詳しい東京都立大学大学院の伊永大輔教授は「米司法省がGoogleを提訴するとの予測は以前からあったので、驚きはないが、影響は大きいだろう」と話す。日本への影響については「世間の関心はいっそう高まるだろう。公取委が欧米に歩調を合わせる形で独禁法事件として取り組むかどうかが、まずは中心的な議論になるのではないか」とみる。

 負の側面の一方、巨大ITが利便性の高さで消費者の生活を豊かにし、中小企業に新たな商機をもたらしたのも確かだ。「ポスト・コロナ」のデジタル化加速の重要な担い手でもある。経団連は19年10月の提言の中で「過度な規制強化は、デジタル分野全体でのイノベーションの停滞につながり得る」と指摘している。

 デジタル市場の健全な発展に向け、規制と競争力の両立が求められている。(森田晶宏)

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