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» 2020年10月26日 07時00分 公開

ネット配信がヒット要因? 「鬼滅の刃」、映画公開3日間で興行収入46億円突破

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興行収入が公開初日から3日間で46億円を突破した。ヒットの要因について専門家は「アニメのテレビ放送は深夜帯だったが、ネット配信で後追いしやすかった」と話す。

[ZAKZAK]
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 もはや社会現象だ。アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興行収入が公開初日から3日間で46億円を突破した。原作の単行本も1億部(電子版含む)を超え、タイアップに名乗りを上げる企業も列をなすなど「GoTo鬼滅」状態だ。映画業界はもちろん日本経済の救世主にもなろうとする勢いを見せている。

 映画は全国403館で上映、16〜18日の累計興行収入は46億円を突破、国内で公開された映画の平日、土曜日、日曜日の1日当たりの興収と観客動員数でそれぞれ歴代1位となった。10億円でヒット作といわれるなかで桁違いだ。観客動員数は340万人を超えた。

 SNSでは、公開前から映画館のオンラインチケット販売サービスで予約待ちが続き、「7万人待ちだって表示された」という投稿もあった。東京・TOHOシネマズ新宿では全12スクリーンのうち11スクリーンを使って1日で42回上映した。

 原作は2020年5月まで週刊少年ジャンプ(集英社)で連載されていた吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの漫画。人食い鬼がすむ大正時代の日本を舞台に、家族を惨殺された主人公の少年・炭治郎(たんじろう)が、鬼と化した妹の禰豆子(ねずこ)とともに、家族を殺した鬼を討つため旅立つストーリー。16年2月に連載が始まり、これまでに単行本22巻が刊行された。

 企業への恩恵も大きい。19日の株式市場で東宝の株価は年初来高値を更新した。

 すしチェーン大手のくら寿司は、6月に続き、9月から鬼滅とのキャンペーンを実施したところ、同月の既存店売上高は速報値で前年同月比107.9%と7カ月ぶり前年超えし、コロナ禍の苦戦を脱却した。

 コンビニ大手ローソンは鬼滅の刃とコラボしたクリスマスケーキやおせち料理の予約を開始、日清食品は「チキンラーメン」や「出前一丁」でコラボ商品も販売中だ。ダイドードリンコは、ダイドーブレンドの缶コーヒーで28種類の鬼滅パッケージを展開している。

 アニメコラムニストの小新井涼氏は「これまでにも『妖怪ウォッチ』や『進撃の巨人』など人気アニメの社会現象を追ってきたが、鬼滅の刃はファン層から外れる世代がなく、似たようなブームはなかなか見かけない」と話す。

 大正時代を舞台にしたあだ討ちのストーリーが子供の心もとらえた。

 小新井氏は「キャラクターのデザインが小柄で、『〜の呼吸』というキャッチーな技名もあって子供が感情移入しやすい。一方で劇場版の上映区分は『PG12(12歳未満は保護者の助言、指導が必要)』で、残酷な描写等も妥協せず描かれており、大人もはまる作品だった」と解説する。

 映画がヒットした理由について小新井氏は、「アニメのテレビ放送は深夜帯だったが、ネット配信で後追いしやすい。原作漫画もあり、流行をつなぐ燃料があった。コロナ禍のステイホーム期間でさらに浸透したのではないか」と話す。

 今後の展開について「海外の日本アニメファンの間でも人気が高い。アニメ化されていない原作部分も多く、テレビアニメの続編や新たな劇場映画の公開によっては、まだブームが加速する可能性もある。今がピークとは言い切れない」との見通しを示した。

 向かうところ敵なしか。

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