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» 2020年11月04日 07時00分 公開

女子選手の性的画像ネット拡散 防止へ「盗撮罪」創設も浮上

女性アスリートが競技会場で性的な目的で撮影されたり、わいせつな加工が施された画像が拡散されたりする被害が相次ぎ、JOCが本格的な被害防止対策に乗り出した。法務省でも「盗撮罪」の創設が議論に上がっている。

[産経新聞]
産経新聞

 女性アスリートが競技会場で性的な目的で撮影されたり、わいせつな加工が施された画像が拡散されたりする被害が相次ぎ、日本オリンピック委員会(JOC)が本格的な被害防止対策に乗り出した。会員制交流サイト(SNS)の普及で、トップ選手だけでなく中高生にまで悪質な被害が拡大。これまで転載が容易なネット上での取り締まりは限界状態にあったが、「名誉毀損(きそん)罪や侮辱罪に当たる可能性がある」として法的整備を行うべきとの声も出始めた。(大渡美咲、石原颯)

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20年以上前から横行

 女子選手のネット被害はもう20年以上前から横行してきた。「後ろから撮られた写真をインターネット掲示板や週刊誌に載せられたことを周りから教えてもらって知った」と話すのは、陸上女子100m障害の日本記録保持者、寺田明日香選手(30)だ。

 寺田選手が高校生くらいのころにも女子選手をわいせつ目的で撮影する問題はあったという。2005年ごろには、身体の一部をズームしたDVDなどが売買され、これを重く見た日本学生陸上競技連合が会場に「盗撮」禁止を呼びかけるポスターや看板を設置した経緯がある。

 寺田選手は今も後輩の選手から相談を受けることがあるといい、「若い選手の中にはショックを受けたり、心の傷として残る子もいると思う」と話す。

 さらに、「技術の進化で簡単に写真を撮ったり手に入れたりできる状況に法律が追い付いてない。スポーツを一生懸命やっている選手が嫌な思いをしないで競技に取り組めるようにしてほしい」と強く要望する。

対策にも「限界ある」

 競技団体もただ手をこまねいてきたわけではない。日本陸上競技連盟では性的な目的での撮影を防ごうと、地道に対策に取り組んできた。100m走や100m障害などでは、スタート位置の後方エリアの観客席を撮影禁止に指定したり、会場に持ち込むカメラを登録制にしたりもした。

 さらに、衣服の上から赤外線カメラで狙う撮影者から女子選手を守るため、スポーツ用品メーカーに依頼し、透過を防ぐ特殊な素材のインナーも開発した。

 しかし、日本陸連の風間明事務局長は対策には「限界がある」とも漏らす。役員らが巡回して不審な写真を撮影している人に声をかけ、画像を消去してもらうなどの取り組みをしているが、「それ以上のことをすると逆に訴えられかねない」。報道目的で撮影された画像をわいせつに加工されたり、SNS上で性的な言葉を掲載されたりするケースもあるという。

 現時点で国内の盗撮行為は刑法で規定されておらず、都道府県ごとに迷惑防止条例で取り締まっている実情がある。しかし条例で取り締まる「盗撮」とは原則、衣服で隠されている下着や身体を撮影する行為。選手のユニホーム姿を「盗撮」すること自体は犯罪に該当しない可能性が高い。

スポーツ界全体で対策を

 そうした中、法務省の性犯罪に関する刑事法を見直す検討会では「盗撮罪」の創設が議論の一つとして浮上。風間氏は「法的に対応し、犯罪だとなれば自制してくれるようになる。時間はかかるかもしれないが、スポーツ界全体で協議して働きかけたい」と話した。

 橋本聖子五輪相は会見でJOCが競技横断的な対策に乗り出すことを歓迎。元五輪選手の橋本氏は「撮影行為で心を傷つけられた選手もいると思う。関係者間で検討が進められ、何よりも選手に寄り添いながらしっかりと防止につなげていっていただければと思っている」と述べた。

 数年前にSNSに性的なメッセージを送りつけられた経験を持つ実業団の陸上女性選手は当時、泣き寝入りするしかなかったと悔しさをにじませる。

 学生時代に所属していた部では複数の選手が狙われ、競技中の画像が出回った事案もあったという。「とにかく気持ちが悪くて嫌だったが、誰に相談していいのか分からず、受け入れるしかなかった」と話す。

 安心して競技に取り組める環境づくりが進むことに期待を込めて、「これまでは仕方ないと思っていたが(JOCなどが)動いてくれるのはありがたい。競技第一としてみてもらえるようになってくれたら」と訴えた。

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