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» 2020年11月05日 07時00分 公開

「空飛ぶクルマ」開発 “移動革命”へベンチャー名乗り相次ぐ

「空飛ぶクルマ」などと称されるeVTOLの開発に、ベンチャー企業が次々と名乗りを上げている。日本では実用化目標を2023年に定め、機体の安全基準や操縦者の技能証明などに関する具体的な検討が進んでいる。

[産経新聞]
産経新聞

 「フライングカー」や「空飛ぶクルマ」などと称されるeVTOL(垂直離着陸型航空機)の開発に、ベンチャー企業が次々と名乗りを上げている。交通渋滞が激しい都市部、離島や山間部の移動だけでなく、地震や豪雨などの被災直後の救急搬送の手段としても期待されている。早ければ2020年代半ばにも実現が見込まれる「空の移動革命」に向け、各社とも開発が大詰めに差し掛かっている。

photo eVTOLジャパンが開発した2人乗りの電動ヘリコプター=4日、東京都江東区の東京ビッグサイト(松村信仁撮影)

 14年から開発を進めているスカイドライブ(東京都新宿区)は4日、東京都内で開かれたフライングカーに関する展示会で、8月の有人飛行試験で成功した「SD-03」を公開した。高さ2m、幅と長さが4mずつで8つのプロペラを備える。23年にこの機体を使った大阪湾岸での空中タクシーサービスを始める計画だ。福沢知浩最高経営責任者(CEO)は「空を介して人々が気軽に移動できるような世界観を早く実現させたい」と話す。

 19年10月に設立したeVTOLジャパン(東京都港区)も同日、同じ展示会で2人乗りの電動ヘリコプターを披露した。全長約6.6m、高さ約2.7m。米ロビンソン・ヘリコプターの機体をベースに、法政大学アーバンエアモビリティ研究所などと共同で開発した。将来的には5人乗りの大型機も開発し、空中タクシーや小型のドクターヘリでの活用を想定する。

 航続時間が20分ほどで、有鉛燃料を使った既存のものの約9分の1だが、eVTOLジャパンの斎藤健司社長は「世界的な環境規制の流れは止まらないだろう。電池の改良などの課題はあるが、いずれ電動ヘリへのニーズは高まるはず」とみる。

 この他、東京大学発のテトラ・アビエーション(東京都文京区)も18年から1人乗りのeVTOLを開発。20年2月に参加した米国での個人用航空機開発コンテストで入賞を果たした。

 空飛ぶクルマを巡っては、昨夏、NECが試作機の浮上試験に成功させた他、川崎重工業も開発に乗り出した。

 海外では米国が先行。配車サービス大手のUberが4人乗りeVTOLを開発し、23年のサービス実用化を目指す。ベルヘリコプターも20年代半ばの実用化を目指して機体開発を進め、日本の物流大手ヤマト運輸が活用する方針だ。欧州でもドイツなどでベンチャー企業を中心に開発に参入している。

 海外勢の動きをにらむかたちで、日本も経済産業省と国土交通省が18年に空飛ぶクルマの産業化に向けたロードマップ(行程表)を策定し、実用化目標を23年に定め、機体の安全基準や操縦者の技能証明などに関する具体的な検討が進む。ベンチャー企業が新たに作り出す「空を自由に行き来できる世界」がすぐ目の前に迫っている。

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