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» 2020年11月11日 07時00分 公開

SNSで個人間融資トラブル……全裸写真担保に苛烈取り立て

SNSなどを通じて個人間で金を貸し借りする「個人間融資」をめぐるトラブルが増えている。素人でも簡単にヤミ金を始められてしまう状況があり、金融庁はTwitterでネットパトロールを行うなど対策を始めている。

[産経新聞]
産経新聞

 SNS(会員制交流サイト)などを通じ、個人間で金を貸し借りする「個人間融資」を巡るトラブルが増えている。「融資」というものの実態はヤミ金業者であることが多く、大阪では、債務者に苛烈な取り立てをしたヤミ金業者の男が逮捕される事件も。2020年に入ってからは、新型コロナウイルス禍による生活苦などを背景に個人間融資を誘う投稿がSNSで相次いでおり、金融庁は「安易に手を出せば取り返しのつかない事態になる」と警鐘を鳴らす。

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 「金返さんかい!」

 4月9日夜、大阪府東大阪市内のアパートで男の怒号が響き渡った。債務者の30代男性が玄関ドア越しに「返せません」と応じると、男はマジックでドアに「金返せ 連絡しないなら またくる」と書いた上で、火のついたマッチを郵便受けに投げ込んだ。煙があがるなど、消防車が出動するボヤ騒ぎとなった。

 男は、大阪府警布施署などが10月までに現住建造物放火未遂や貸金業法違反などの疑いで逮捕、送検した大阪市中央区の林東周(リン・トウシュウ)被告(25)=韓国籍、貸金業法違反罪などで起訴。無登録で貸金業を営み、法定を上回る金利を受け取っていたなどの疑いがあるが、悪質な点は法外な金利だけでなく、返済が滞れば債務者に苛烈な取り立てを行っていたことだ。

性行為要求も

 被害者は府内の10〜40代の男女12人で、学生や会社員など幅広い。1回あたりの融資額は1万〜40万円で、10日で30%、1カ月で50%を目安に利息を取っていた。約2年前からSNSでヤミ金を始めたといい、「ヤミ金融業の漫画を読みヒントを得た。SNSなら手軽に始められると思った」と供述。開業資金はわずか10万円程度だった。

 手口はこうだ。まずSNSで「橘簾」という偽名を使い、大阪在住者に個人間融資を呼びかけ、ダイレクトメールでやりとりを始める。初めは「その人に合った返済プランを組みます!信頼関係築きましょう」などと親切に接するが、いざ金を貸す段階になると、態度はがらりと急変する。

 債務者に逃げられないよう、全裸の写真を自撮りさせ、身分証の画像も送らせた。返済が滞れば、自宅の玄関ドアに全裸写真を拡大コピーして貼り付け「写真をネットにばらまく」と脅した他、女性に性行為を要求して行為を動画撮影し、アダルトサイトに投稿するなどした。逮捕のリスクを考慮し、債務者の男性に取り立ての代行もさせていたという。

 たとえ個人でも繰り返し金を貸せば「貸金業」と見なされ、国や都道府県への登録がなければ、林被告のように貸金業法違反に問われる。ただ、SNSでは個人を装ったヤミ金業者による融資を呼びかける投稿が相次いでおり、ある府警幹部は「SNSの普及で、素人でも簡単にヤミ金を始められてしまう。借り手は安易に手を出してはならないが、貸金業が疑われるような投稿にも規制をかける必要がある」と指摘する。

増加するトラブル

 国民生活センターによると、SNSを通じた個人間融資を巡る相談件数は18年度から増加。例年20〜30件で推移していたが、19年度は少なくとも70件に。SNS経由の気軽さから若者の利用も目立ち、少額融資を発端に大きな代償を払う危険性がある。

 近年は、性的関係を見返りに女性に金を貸し付ける「ひととき融資」と呼ばれる手口が流行し、融資や返済のたび関係を求められるという相談が増えている。また、20年は新型コロナの影響で職を失い、生活苦に陥った人が個人間融資に頼って、法外な利息に苦しむケースもあるという。

 金融庁は19年秋、公式アカウントを開設し、Twitterでのネットパトロールを開始。19年11月〜20年10月までの間、融資を呼びかける回数が多いなど悪質性の高い計191件の投稿に注意喚起を行い、削除につなげるなどした。

 同庁の担当者は「注意喚起できたのは氷山の一角にすぎない。SNSに潜むヤミ金に手を出せば、法外な金利だけではなく、個人情報をネットにばらまかれるなど二次被害も甚大。継続して注意を呼びかけたい」と話した。

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