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» 2020年11月17日 07時00分 公開

新型宇宙船、次世代のデジタル仕様 再利用も

野口聡一さんが搭乗した新型宇宙船クルードラゴンは、世界で初めて本格的に民間が開発から輸送までを手掛ける有人宇宙船だ。タッチパネルの採用で手動の操作を極力削減。帰還カプセルなどは再利用してコストを抑える。

[産経新聞]
産経新聞

 野口聡一さんが搭乗した新型宇宙船クルードラゴンは、世界で初めて本格的に民間が開発から輸送までを手掛ける有人宇宙船だ。現在使われているロシアのソユーズ宇宙船とは対照的に、最新のデジタル仕様で洗練された次世代型の設計になっている。

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 クルードラゴンは、米スペースX社が米航空宇宙局(NASA)との契約分だけで3000億円以上を投じて開発した。飛行士が乗る円錐(えんすい)形に近い帰還カプセルと貨物室で構成され、全長約8m、直径約4m。3人乗りのソユーズと同じカプセル型だが、船内はより広い。通常は4人が搭乗するが、一般人による将来の宇宙旅行を見越して最大7人が乗り込める。

 無数のスイッチやケーブルが操縦席を取り囲むソユーズとは対照的に、最新のデジタル技術を導入。宇宙服の手袋をはめたまま、座席の前に並んだ3枚のタッチパネルをスマートフォンのように操作する。

 手動の操作をなるべく減らす工夫もされている。機体は大型ロケット「ファルコン9」の先端に搭載して打ち上げられ、ロケットに異常が生じた場合、すぐに検知して自動的に帰還カプセルのエンジンを噴射。ロケットから緊急脱出して危険を回避する仕組みだ。帰還時はパラシュートを開いて海面に着水する。

 米スペースシャトルとソユーズの搭乗経験もある野口さんは「モダンでシックなだけでなく、非常に機能的。操作系を極力シンプルかつエレガントにしている」と語る。

 最大の特徴は使い捨てのソユーズと違って、スペースシャトルのように再利用を前提にしている点だ。帰還カプセルと、ファルコン9の第1段を回収し、再利用することで低コスト化を目指している。

 東京理科大の米本浩一教授(航空宇宙工学)は「再利用は輸送コスト削減のための絶対的な手段」と指摘。「航空機は開発に膨大なコストをかけても、安全性が高い機体を繰り返し使うから採算に合う。宇宙船も民間努力で低コスト化が進めば、誰もが行ける宇宙が近づく」と話している。

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