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» 2020年11月18日 07時00分 公開

コロナ2年目の不動産市場はどうなる? “にわかテレワーク需要”が沈静化、分譲価格の下落は免れない

新型コロナの影響が2021年にも長引きそうな状況の中で、現状“にわかテレワーク需要”によってマイナスの影響をあまり受けていない不動産業界も、中長期的な価格下落の季節に突入するとみられる。

[ZAKZAK]
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 どうやら2021年も新型コロナウイルスとお付き合いをせざるを得ないようだ。新薬の登場も注目され出したが、現状を劇的に好転させる材料は今のところ何もない。それどころか世界的には状況が悪化している。

photo コロナ禍が変えた住まいの概念。一時的なものか長期的なものか

 日本の国内だけを見ていると、大方の人にとっては感染を恐れるよりも自身の雇用や所得の危機の方が深刻ではないか。飲食店の経営者やその従業員、観光業に携わる人たちは「目の前の危機」に立ち向かっている。

 では、不動産業界はどうだろうか。とりわけ私が日々市場を眺めてアレコレ言っているマンション業界は……。

 はっきり言って、不動産業界はマイナスの影響をさほど受けていない。4月と5月の緊急事態宣言下では一般消費者向けの営業を自粛していたところが多かったが、6月の再開以降は急激に売り上げや成約数を伸ばしたカテゴリーがいくつかあった。

 近郊の新築戸建ては売れに売れた。東京の湾岸エリアにある中古タワマンにも購入希望者が殺到。これらは基本的にテレワークによって生まれた「プラスひと部屋」や、ワークスペースとして活用できる共用施設の利用を念頭に置いた特殊需要だ。

 湘南エリア(神奈川)の中古住宅や本厚木(同)の賃貸マンションなどにも需要が集まった。やや驚いたのは、長年買い手がつかなかった那須塩原(栃木)の中古別荘とか、九十九里(千葉)の賃貸別荘も活発に動いたらしい。

 一方、デパートでは高額な宝飾品の販売が好調だという。海外旅行に行けない富裕層がストレスをためた結果、国内での別荘取得や高額商品の購入に向かっているらしい。

 しかし、こういう需要は一巡してしまえばそれまで。不動産市場におけるにわかテレワーク需要も、すでに沈静化した模様だ。今後は「ウイズ・コロナ不況」によるやや中長期の価格下落の季節に突入するとみられる。

 まず、テレワークの普及によるオフィス需要の減退は、すでに空室率の上昇や賃料の下落になって統計数字に表れ始めている。繁華街エリアの飲食店ビルについては、まだこれといった指標は出ていないが、目を覆わんばかりの下落になっていても不思議はない。

 最後に表れるのは、住宅関係だ。新築マンションの価格が目に見えて下がるのは、早くて今から1年先。それよりも、住宅ローンの返済に窮した人々による任意売却や競売の物件が市場で目立ち始めるのは、そろそろではないかと推測している。

 平成バブルが崩壊したのは1990年1月の大発会からとされている。で、マンション価格が実際に下がり始めたのは、その3年後あたりから。住宅市場への普及には遅効性がある。

 好調なカテゴリーは巣ごもり需要に対応したeコマース関係の流通倉庫。郊外や地方のまとまった土地には引き合いが殺到しているという。

 新型コロナによる日本経済の減速は、不動産市場にも確実に影響を及ぼす。それが自分にどう影響するのかを冷静に考えるべきだろう。

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 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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