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» 2020年11月20日 07時00分 公開

脱ハンコで学校のデジタル化加速

行政手続きの押印廃止を進める政府方針を踏まえ、文部科学省も学校現場の保護者との連絡のデジタル化を求める通知を全国の教育委員会に出した。歓迎の声があがる一方、「なりすまし」などの問題や、機器整備の課題を指摘する声もある。

[産経新聞]
産経新聞

 行政手続きの押印廃止を進める政府方針を踏まえ、文部科学省が先月、学校現場の保護者との連絡のデジタル化を求める通知を都道府県や全国の教育委員会に出した。国内では独自にデジタル化を進めている学校もあり、保護者を中心に歓迎の声があがる一方、「なりすまし」などの問題や、機器整備の課題を指摘する声もある。教育の現場は変わるのか。(地主明世)

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書類に毎日押印

 「保育園では欠席連絡も行事の通知もアプリ。小学校に上がったら紙に『戻る』なんて、不便でしかない」

 神戸市内で子供を認可保育園に通わせる女性(32)は、未来の小学校がデジタル化されていることを強く願う。

 菅義偉政権が政策目標として推進する「デジタル化」。河野太郎行政改革担当相は今月13日の記者会見で、行政手続きでのはんこ使用の99%超を廃止する方向に決定したと発表したが、現在、学校現場が保護者と交わす書類の多くは押印を求めている。小学3年の長女の連絡帳に毎日、確認印を押すという大阪市天王寺区の女性会社員(35)は、「学校は相談や連絡について連絡帳を使うよう求めるが、手間も時間もかかる。押印の省略だけでなく幅広いデジタル化につながってほしい」と話した。

photo 学校と保護者をつなぐアプリの画面の例(EDUCOM提供)

 教職員の間でも、業務で押印する機会は多い。兵庫県内の公立小学校の校長は「教育委員会に提出する書類にも押印が必要なことが多く、1日に100回以上判を押している。簡略化してほしい」と打ち明けた。

コロナ禍で真価

 文科省の通知は、子供を介するため連絡ミスなどのトラブルが起きやすい学校現場と保護者のやりとりをよりスムーズにし、負担軽減を図るのがねらいだ。アンケートフォームのURLを保護者にメールで伝えることや、スマートフォンで児童生徒の遅刻や欠席を連絡できるシステムなども紹介されている。

 すでにデジタル化を進めている自治体や学校もある。横浜市立山内小学校は2019年6月から、紙のプリント配布を廃止。宿泊学習への参加の確認や進路調査といった保護者宛ての連絡はメールやインターネットのシステムを使っている。

 デジタル化の真価が発揮されたのは、新型コロナウイルスへの対応で学校現場が混乱した時期だった。状況が目まぐるしく変わる中にあっても、他校に比べて保護者との連絡はスムーズだったといい、佐藤正淳校長は「情報をスピード感をもって伝えることは家庭との信頼関係を築く上でも大切だ」と強調した。

 埼玉県戸田市では17年度から「学校だより」などもデジタル化。20年度からは全公立小学校がインターネットの欠席連絡に対応している。大阪市教委も20年7月から、市教委への一部提出書類では学校印を不要にした。

情報漏えいに懸念

 一方、誤送信などによる情報漏えいに対する懸念や「なりすまし」問題の他、高齢で対応に不慣れな教員の習熟という課題も指摘されている。文科省はスマホなどを持たない家庭には紙での対応も並行して行う配慮も求めているが、ある関東の公立小学校の校長は「併用すれば『紙の文化』がだらだらと続き、現場にとっては二重の負担になる」とも指摘した。

 教育の情報化に詳しい国際大グローバル・コミュニケーション・センターの豊福晋平准教授(教育工学)は「学校は対面と紙が基本で、保護者とのやりとりに関するデジタル化はほとんど進んでいなかった。学校の負担軽減になり、保護者のニーズにも合う」と文科省の方針を評価。「保護者とのやりとりだけでなく、成績や出欠の管理など、校務全体のデジタル化もあわせて進めるべきだ」と指摘している。

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