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» 2020年11月30日 07時00分 公開

コロナで教育のデジタル化に脚光 IT立国エストニア快走 米中韓は課題も (1/2)

新型コロナの感染再拡大を受け、学校教育のデジタル化に改めて脚光が当たっている。「IT立国」を掲げてきたエストニアは、教育分野でもデジタル基盤の強さが光る。米国や中国、韓国もコロナ禍を機にデジタル化を加速させたが、課題はなお多い。

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、オンライン授業をはじめとする学校教育のデジタル化に改めて脚光が当たっている。「IT立国」を国策に掲げてきた旧ソ連の小国エストニアは、教育分野でもデジタル基盤の強さが光る。米国や中国、韓国もコロナ禍を機にデジタル化を加速させたが、課題はなお多い。

photo 2020年4月、エストニアの遠隔授業に関するオンライン会議で話す同国教育専門家。長年のデジタル教育の経験が遠隔授業にも役立てられた(同国政府系団体のYouTubeの動画から)

エストニア 長年の投資が実る

 エストニアではコロナの「第1波」に見舞われた3月から5月の約2カ月間、学校の授業が全面的にオンラインに切り替えられた。一部地域では11月30日から再び遠隔授業が導入される。同国は3月のオンライン授業への移行時、混乱や問題がほとんど起きなかった成功例として知られる。

 「エストニアはコロナ禍のために特別に準備したわけではない。長年にわたってデジタルのインフラや教材、人材に投資してきたことがスムーズな遠隔授業への移行につながった」。エストニア教育科学省のステン・オツマー広報部参事官はこう説明する。

 同国ではすでに全科目の教科書がデジタル化されている。児童・生徒が課題を提出したり、教員と保護者が子供の評価や理解度を共有したりするオンラインのプラットフォームもあり、コロナ禍以前から存分に活用されていた。教員や児童・生徒のITスキルが高く、学校に教育のデジタル化を補助する技術者が配置されていることも、遠隔授業の導入に役立った。

 エストニアは1991年にソ連から独立後、程なくして「IT立国」を国策に掲げた。ITによってソ連時代の非効率を脱却し、経済を飛躍させる――。当時の政権は小国が生き延びる鍵をここに見いだした。

 2002年には15歳以上の国民全員に電子IDカードが導入された。これでインターネットにアクセスすれば、会社の登記や納税を含む99%の行政手続きがオンラインで可能だ。IDカードは銀行決済やオンライン投票などにも使われる。

 教育のデジタル化やデジタル人材の育成は「IT立国」の中核と位置付けられ、官民挙げての取り組みが続けられてきた。このことは学力向上という成果ももたらしている。

 エストニアは2018年、世界79カ国・地域の15歳を対象とした国際学習到達度調査(PISA)で欧州1位に躍進し、注目された。前出のオツマー氏は、デジタル化で「教育格差を減らせたことが何より重要だった」と語る。子供はオンラインで必要な教材を自由に入手できるようになり、保護者の経済力や居住場所の差は以前ほどの意味を失ったという。

 エストニアは人口約130万人と国の規模が小さく、あらゆる取り組みにスピード感を持たせられる。必ずしも他国と同様の条件ではないが、先見の明が実を結んでいるのは確かだ。(モスクワ 小野田雄一)

米国 影を落とす貧富の格差問題

 新型コロナの「第3波」に見舞われている米国では、再度の学校閉鎖に踏み切る自治体が増えている。全米最多の約110万人の児童・生徒が通うニューヨーク市の公立学校は19日からオンライン授業に完全移行した。同市では9月下旬、約半年ぶりに対面授業を再開したが、ウイルス検査の陽性率が3%に達したことで市は再閉鎖に踏み切った。

 米国ではコロナ禍以前にも、学校に通えない子供たちの支援目的などでオンライン学習を取り入れてきた州がある。南部フロリダ州は1997年に義務教育をオンライン上で受けられる「バーチャル学校」を開始した。コロナ禍で同校には再び注目が集まり、全授業を同校で受ける生徒数は2019年の2倍となった。

 また、ニューヨーク市の教育水準の高い学区ではコロナ禍以前から、課題提出などにオンラインの学習管理サービスを利用していた。こうした素地があった同市は比較的円滑にオンライン授業に移行できた。

 一方、米国でも貧富の格差がオンライン学習に影を落とす。11月発表された米シンクタンク「ランド研究所」の調査によると、最も貧困率が高い学区では約20%の生徒が自宅でインターネットに接続できない状態だという。学校閉鎖により、親が自宅で子供の世話をせねばならなくなる家庭も多い。在宅勤務が不可能な職種に就く低所得者層には「親の就労機会がなくなる」との懸念が強い。(ニューヨーク 上塚真由)

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