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» 2020年12月08日 10時30分 公開

「低価格戦」の幕開け……ドコモ新プランに格安スマホ悲鳴

NTTドコモが割安な新料金プランを発表したことで、MVNOが危機に追い込まれている。今後は低価格帯での競争激化が予想され、資本力で劣るMVNOが撤退することになれば、再び価格やサービスで競争のない市場に逆戻りする懸念もある。

[産経新聞]
産経新聞

 NTTドコモが割安な新料金プランを発表したことで、格安スマートフォン事業を手掛ける仮想移動体通信事業者(MVNO)が危機に追い込まれている。他の携帯大手も値下げに踏み切るとみられ、今後は格安スマホが主戦場とする低価格帯での競争激化が予想されるからだ。資本力で劣るMVNOが撤退することになれば、携帯大手が再び市場を寡占し、価格やサービスで競争のない市場に逆戻りする懸念もある。

photo 新料金プラン「ahamo」を発表する、NTTドコモの井伊基之社長=3日午後、東京都渋谷区(松本健吾撮影)

 MVNOは携帯大手から回線を借りて通信事業を展開する。設備投資に費用がかからないため、月1〜3GBの容量で1000円台、月10〜20GBが3000〜4000円台と、大手より料金を安くできる。昼休みや夜間など、通信が混み合う時間帯には速度が低下する他、実店舗が少ないなどのデメリットがあるが、携帯電話回線契約全体に占めるシェアは、2014年の5%から20年6月末には13.4%に高まってきた。

 ドコモは新プランで、月20GBで2980円と、格安スマホより安価な価格設定を打ち出した。

 MVNOの日本通信は4日、月20GBで1980円の新料金プランを発表。10日からのサービス開始当初は月16GBだが、ドコモの新プランが始まる21年3月に20GBに増量する。同社は「ドコモに対し、MVNOの代表として対抗する」と背水の陣で挑む。

 MVNOは、「mineo」を展開する関西電力傘下のオプテージ(大阪市中央区)やKDDI系列でケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(J:COM)のように、異業種の市場参入を促す仕組みでもある。第5世代(5G)移動通信システムでは多様なサービスも期待される。オプテージは1日から5Gサービスを開始、Jコムも21年初めに追随する計画だ。

 武田良太総務相は、ドコモの新プラン導入で利用者の格安スマホへの乗り換えが活性化するとして、「一番恩恵を受けるのはMVNOだ」と競争を促す。総務省は10月末に公表した携帯電話市場の競争を促す「アクション・プラン」で、携帯大手がMVNOに回線を貸し出す接続料を3年で5割に引き下げる目標を掲げており、MVNOを後押しする方針。

 ただ、薄利多売のMVNOには経営体力が弱い事業者も多く、関係者からは「3年も経営が持たない」と悲鳴が上がる。SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは「MVNOは競争に負けたといってもいい」と指摘するなど、市場の硬直化も懸念される。(高木克聡)

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