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» 2020年12月08日 10時30分 公開

「100点満点中1万点」 はやぶさ2、JAXA会見詳報

探査機「はやぶさ2」が分離した小惑星リュウグウの試料が入ったとみられるカプセルが地球に帰還したことを受け、津田雄一プロジェクトマネージャは「100点満点でいえば、1万点です」と心境を語った。

[産経新聞]
産経新聞

 探査機「はやぶさ2」が分離した小惑星リュウグウの試料が入ったとみられるカプセルが地球に帰還したことを受け、相模原市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)で6日、チーム責任者の津田雄一プロジェクトマネジャー、国中均・JAXA宇宙科学研究所長らが記者会見し、心境などを語った。主なやりとりは次の通り。

photo 【小惑星探査機「はやぶさ2」再突入カプセル地球帰還 回収後の記者会見】会見に臨むJAXAの津田雄一教授=6日午後、神奈川県相模原市(佐藤徳昭撮影)

 ――2014年にはやぶさ2を打ち上げたときは、どんな気持ちだったか

 津田「初代はやぶさは、いろいろなトラブルを乗り越え小惑星へ往復飛行する偉業を達成した。私も、そこで学んだことを全てはやぶさ2につぎ込み、開発や運用に関わってきた。だが打ち上げのときは、こんなうれしい気持ちになれるとは想像していなかった」

 ――初代とはやぶさ2で複数の小惑星からの試料採取に成功した

 国中「宇宙科学研究所のマニフェスト(公約)は定期的な試料回収を実現することだ。現在、火星の衛星から9年後に試料を持ち帰る計画を進めている。その先の計画も、いつか成立させたい。実現できれば、世界の宇宙科学を日本が先導できるだろう」

 津田「初代とはやぶさ2は、小惑星と地球の間を往復飛行した。はやぶさ2は完璧な状態で帰ってきたので惑星間飛行を完成させたといえる。他の天体に自由に行き来することを、日本は2回もやった。これは世界の中でも特異な立場だと思う」

 ――宇宙飛行士の野口聡一さんが、滞在中の国際宇宙ステーション(ISS)から、地球に帰還するはやぶさ2を撮影して映像を公開した

 津田「最初は私から、もしかしたら撮れるのではないかと提案した。米航空宇宙局(NASA)もいいねと言ってくれて実現した。はやぶさ2は小さいので撮れるかなと思っていたが、見事に撮影してくれて驚いた。感謝している」

 ――6年間を振り返って一番の山場は

 津田「やはり、リュウグウへの1回目のタッチダウンだ。リュウグウは非常に厳しい環境だと分かり、はやぶさ2の性能では太刀打ちできないと判明したときに、チームの力が改めて試された。コンピュータのプログラムを書き直すなどして着地できたときは、本当にうれしかった」

 ――これまでの6年間を自己採点するとしたら

 津田「100点満点でいえば、1万点です」

 ――初代の教訓を生かしたということだが、初代の責任者だった川口淳一郎シニアフェローには、どう報告するか

 津田「小惑星への着地に成功したときには、初代の宿題の借りを返したぞと思ったが、大気圏再突入は初代がさまざまなトラブルを抱えながら見事に成功させてしまったので、私にとっては大きなプレッシャーだった。けれど初代と同様に成功できたので、こちらも借りを返し、なんとか前に進めましたと報告したい」

 ――帰還カプセルの中に試料は入っているか。揺らして確かめてはいないのか

 津田「(日本で)管制している側では全く分からないから、現地の回収班に聞いてみようよと冗談で話していた。だが、本当に振ったら(試料が壊れて)まずいので彼らもやっていないと思う。ただ、運んで揺れたときに、何か感じた人はいるかもしれない」

 ――チームを運営する上で心掛けたことは

 津田「探査機はすごく操作が難しいもので、誰一人として全てを理解しているわけではない。そんなメンバーで難しい計画を進めるときには、コミュニケーションを重視して相手のことを考えながら、安心してベストを尽くせる雰囲気が必要だ。リーダーがああしろこうしろではなく、自発的に提案が湧いてくるようなチームワークを心掛けたことで、うまくいったのではないかと思っている」

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