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» 2020年12月10日 07時00分 公開

Huawei、低価格スマホ売却も揺らぐ地位 米制裁で重要部品なく「5G」乗り遅れ

米国の制裁で苦しむ中国Huaweiが、低価格スマホブランド「HONOR」を手放すことを決めた。半導体の調達が難しくなり、5G製品を含め勢いを失っている。半導体やOSの開発にHONOR売却で得た資金を投入するとみられる。

[産経新聞]
産経新聞

 米国の制裁で苦しむ中国の通信機器大手、Huaweiが、低価格スマートフォン事業を手放すことを決めた。スマホの頭脳の役割を果たす重要電子部品・半導体の調達が困難となり、生き残りを懸けて事業の整理に乗り出した格好だ。最先端の部品を手にできない影響は大きく、世界シェアが激減。部品の内製化を急ぐが技術力不足で前途は多難だ。Huaweiのスマホ市場での地位が揺らいでいる。

 Huaweiが売却するのは2013年に若者向けに設立した低価格スマホブランド「HONOR」。引き受けるのは30以上のスマホ販売店などが出資する会社で、金額は公表していないが、ロイター通信によると1000億元(約1兆6000億円)に上るとみられる。売却の理由として、Huaweiは「産業技術の持続的な獲得が不可能となった」と説明した。

 米政府は9月、Huaweiへの制裁を強化し、自国の製造装置や設計ソフトを使った半導体を同社に供給することを禁止する措置を発効させた。米国以外の企業も対象で、供給するには許可が必要とした。

 生産委託先の台湾企業から調達できなくなったHuaweiは、手元にある半導体の在庫がなくなるとスマホの生産が不可能になる。生産調整は既に始まっており、7〜9月期のスマホの世界シェアは急落。韓国Samsung電子がHuaweiから首位の座を奪い返している。米政府の制裁が効いており、在庫は来春に切れるとの見方もある。こうした状況から、HuaweiはHONORの売却に踏み切らざるを得なかった。

 HONORの年間出荷台数は7000万台で、Huaweiのスマホ全体の3割に当たる。事業規模は小さくなり、韓国紙、中央日報(日本語電子版)は「Samsungとの世界競争で後れを取るだろう」と報じた。

 窮地に陥るHuaweiだが、手をこまねいてはいない。英紙Financial Times(FT)によれば、米国の技術を使わない半導体工場を上海に建設することを検討している。また、米Googleのアプリを搭載できないことから、ソフトの強化にも力を入れる。独自の基本ソフト(OS)「鴻蒙(Honmeng)」の開発にこぎ着けた。テレビなどに搭載実績があり、21年からスマホでも使用するという。着実に内製化を進めており、HONOR売却で得た資金も投入していくとみられる。

 Huaweiは米国の制裁を克服するための戦略を練っているが、高価格帯が中心のブランドの落ち込みを補うのは厳しい。特に半導体は、生産ラインが整ってもスマホに使う高性能な製品を生産するのは当面難しいとみられる。技術力が不足していると指摘する声も聞かれる。

 しかも米国の締め付けが一段と厳しくなることもあり得る。トランプ政権は安全保障上の懸念があるとして段階的に制裁を強化してきた。年明けにバイデン政権に移行しても米中のハイテク覇権を巡る争いは簡単に止まらないとの見方は多い。

 一方、米半導体大手のQualcommが米商務省から、Huaweiに対する半導体製品の供給許可を取得した。当局が規制の例外的な販売許可をQualcommに与えた格好で、日本を含む先進国で使われる通信規格「第4世代(4G)」のスマホ向け製品とみられる。ロイター通信はQualcommの広報担当者の話として「多くの製品についてライセンスを得た。4G関連製品も一部含まれる」と伝えた。高速の5G移動通信システム向けは許可の対象に入っていないようだ。

 Huaweiは4Gスマホ向けの半導体を調達できるようになるとはいえ、5Gへと向かう世界の通信市場の潮流に乗れないのは致命的だ。5Gの商用化は世界各国で進んでおり、サービス開始から1年が経過した中国では20年に入ってからだけで対応機種の出荷台数は1億台を突破した。全出荷台数の約半数を占めるほどで、5Gスマホが中心になるのは確実とみられる。そうなると、Huaweiは世界最大のスマホ市場である自国での地位も危うくなる可能性がある。中国スマホ大手で世界シェア3位のXiaomiが勢いを増している。

 米通信社Bloombergは、台湾の調査会社TrendForceが足元で約15%あるHuaweiの世界シェアが21年に4%に急低下すると予想していると報じた。Huaweiは、生きながらえても旧世代対応の“型落ちスマホ”専門の三流メーカーに成り下がるかもしれない。(経済本部 佐藤克史)

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