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» 2020年12月11日 07時00分 公開

2020年流行はネット配信から 巣ごもりで躍進 テレビ局も力

コロナ禍で「巣ごもり」を余儀なくされた2020年は、インターネットで配信される動画の影響力が増した一年となった。地上波の番組を配信で見る人も増えており、テレビ各局は若年層を中心とする配信視聴者の取り込みにも力を入れる。

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大で「巣ごもり」を余儀なくされた2020年は、インターネットで配信される動画の影響力が増した一年となった。配信発のドラマ「愛の不時着」は20年の流行語トップ10に入り、女性グループ「NiziU」はNHK紅白歌合戦に初出場する。地上波の番組を配信で見る人も増えており、テレビ各局は若年層を中心とする配信視聴者の取り込みにも力を入れる。(道丸摩耶)

 NHKが大みそかに放送する紅白歌合戦。20年の出場者発表で、本格デビュー前ながら初出場を射止めたのが、日韓女性グループ「NiziU」だ。

 NiziUは動画配信サービス「Hulu」で知られることになった。メンバーになるための公開オーディションの様子を追ったドキュメンタリー「Nizi Project」では、夢を追う少女たちの熱い姿と、指導・育成するJ・Y・Parkさんが話題に。1月から全20話が配信され、若年層だけでなく、孫から教えてもらった高齢者まで取り込んで大人気となった。

 配信からのヒットといえば、Netflixが配信した韓国ドラマ「愛の不時着」「梨泰院クラス」も同様だ。韓国人令嬢と北朝鮮将校の愛を描いた「愛の不時着」は、2月の配信開始以降、200日以上も総合トップ10に入る根強い人気。広報担当者によると、Netflixの有料会員は20年8月末時点で500万人を突破し、1年で約200万人も増えたという。

 ネットで動画を視聴する動きはコロナ禍によって加速した。「インプレス総合研究所」(東京)が5月に行った調査では、外出自粛期間中に「無料の動画を見る」(27.5%)と答えた人は、「テレビ番組を見る」(26.3%)人を上回った。普段よく見る映像、動画の種類では「リアルタイムのテレビ番組」が69.6%と最多だったが、「YouTube」などの動画共有サービスや、動画配信サービスを視聴する人は前年より増加した。

 配信動画の躍進を、テレビ各局も手をこまねいているわけではない。自局の配信サイトや共同のポータルサイトで番組配信を行い、利用者も増加している。民放番組を無料配信する「TVer」は20年9月の利用者が1350万人となり、前年9月(約900万人)の1.5倍に。人気コンテンツ(9月までを集計)は連ドラで、1位の「恋はつづくよどこまでも」(TBS)は1841万回再生されている。

 配信でドラマを見る層を取り込もうと、テレビ放送に合わせて配信のみで見られる“番外編”を作る動きも活発だ。13年ぶりに復活したドラマ「ハケンの品格」(日本テレビ)は、ドラマと同時にHuluで独自の番外編「ハケンの珍客」を配信するなど、テレビとネットの双方から盛り上がりを図った。

 一方で、20年一番の大ヒットドラマとなった「半沢直樹」(TBS)は、終盤まで配信しないという戦略もみられた。最終回が近づいた段階で第1話からまとめて配信。これによって、リアルタイムでの視聴率アップにつながった可能性も指摘されている。

 同社の佐々木卓社長は「半沢直樹」の最終回が視聴率30%を超えたことについて、テレビとネットの共存に触れながら、「地上波テレビの影響力はここのところ自信を失っていたところがあるが、その自信を回復した」と発言。ネットを活用しながら、配信コンテンツへの対抗心も隠さなかった。

 21年1月からは、有料BS「WOWOW」も、テレビでの契約がなくてもネットで番組が楽しめる「WOWOWオンデマンド」(月額2530円)を開始する。地上波や衛星放送発のコンテンツをネットの配信で見る動きは、今後ますます一般化しそうだ。


 〈動画配信サービス〉 インターネットを通じて映画やドラマ、アニメ、ニュースなどの映像コンテンツを配信するサービス。番組ごとに購入したり定額で見放題となったりする有料サービスと、広告収入などで運営されている無料サービスがある。

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