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» 2020年12月14日 07時00分 公開

警察・自治体のタレント広報戦略変化 YouTuber起用も

情報発信の顔として、タレントなどの著名人を起用する警察や自治体は多い。著名人側もイメージアップにつながると協力に積極的だ。SNSの普及とともに、YouTuberやVOCALOIDキャラを起用するなど、その戦略にも変化が現れているようだ。

[産経新聞]
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 特殊詐欺などの犯罪抑止を呼び掛けたり、まちの魅力を発信したりする顔として、タレントなどの著名人を起用する警察や自治体は多い。一般職員にはないPR効果に期待を寄せる一方で、著名人側もイメージアップにつながると協力に積極的だ。ただ、会員制交流サイト(SNS)の普及とともにその戦略にも変化が現れているようだ。(尾崎豪一)

 「小さなことからコツコツと始めれば、良い答えが出る。みんなで支え合い、大阪がモデルになるように防犯啓発を頑張りたい」

 11月中旬、大阪府庁で漫才師の西川きよしさんがなじみの口調で府民に犯罪への警戒を呼びかけた。西川さんは大阪府警や府内の自治体などがつくる「府安全なまちづくり推進会議」の大使として、特殊詐欺などへの警戒を呼び掛けるアナウンスの制作発表で府庁を訪れていた。

 吉村洋文知事は「きよし師匠の声はみんな聞き耳を立ててくれる」と太鼓判。府警の担当者も「著名人には一般人にない影響力がある。広報啓発という点で大きな助けになる」と話す。

photo 防犯啓発のアナウンスの制作発表会に登壇した西川きよしさん(右)=11月17日午後、大阪府庁

「オバチャーン」、吉本も

 絶大なPR効果を期待し、各地の警察は大使や一日署長、防犯アドバイザーなど、さまざまな肩書で著名人を起用している。府警は特殊詐欺被害防止を呼び掛ける動画を作成する際に、中高年女性のアイドルグループ「オバチャーン」を起用。滋賀県警では「安全安心大使」に県出身の陸上選手の桐生祥秀さんを任命した他、京都府警では吉本新喜劇座長の川畑泰史さんが暴力団排除の啓発ポスターに登場している。

 著名人側もこうした活動への協力には前向きで、オバチャーンの所属事務所の担当者は「大阪に貢献できるだけでなく、メンバーの元気なイメージが多くの人に伝えられるのでありがたい」と効果を実感する。

 従来は幅広い層に対し知名度の高い著名人が起用されるケースが目立ったが、SNSの普及とともにYouTuberなど特定の層に人気のある人も登場するようになった。SNS上のつながりによってターゲット層により深く浸透することが可能になったからだ。

意外性で話題に

 サイバー犯罪の被害防止を呼びかけようと、大阪府警にバーチャルアイドルの初音ミクも起用されるなど幅広い“人選”が主流になりつつある。

 東海大の河井孝仁教授(行政広報論)は「ただ流行になっている人というだけでなく、意外性があるとメディアにも取り上げられやすい。意外性を狙った起用が増えた」と分析する。

 そうした中で大阪府箕面市では、ゆかりの著名人を活躍分野ごとに「特命大使」として任命し、それぞれの特色を生かしてまちの魅力を発信している。「トランポリン大使」にトランポリン元五輪代表の広田遥さん、「声優大使」には声優の渡部優衣さんを起用するなどし、さまざまな層への浸透につなげている。

 関西学院大の難波功士教授(広告論)は「有名人に頼めば何とかなるわけではない。人選には戦略と熱量が必要だ」と指摘している。

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