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» 2020年12月16日 07時00分 公開

SNSに潜む“偽善者”の罠 座間9人殺害で警鐘

座間9人殺害事件は、被害の入り口が全てSNSだった点が注目された。白石隆浩被告に死刑を言い渡した15日の判決でも「SNSが当たり前の社会に衝撃を与えた」と言及。白石被告は救いを求める女性に寄り添う人を装っていた。女性支援団体関係者は「SNSには偽善者もいる」と警鐘を鳴らす。

[産経新聞]
産経新聞

 神奈川県座間市のアパートで2017年、15〜26歳の男女9人が殺害された事件は残忍な手口だけでなく、被害の入り口が全て会員制交流サイト(SNS)だった点が注目された。強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職、白石隆浩被告(30)に死刑を言い渡した15日の判決でも「SNSが当たり前になった社会に衝撃を与えた」と言及。公判で浮かんだのは、救いを求める女性に寄り添おうとする白石被告の“優しい”仮の姿。女性支援団体の関係者は「SNSには偽善者もいる」と警鐘を鳴らす。

photo 東京地裁立川支部=15日午後、東京都立川市(桐山弘太撮影)

 《一緒に死にたいです》

 公判で示された証拠によると、白石被告はTwitterで自殺願望を書き込んだ被害者らにこんなダイレクトメッセージ(DM)を送り、自身も悩んでいるふりをした。被害者は徐々に「何もいいことない」「急に連絡がなくなって死にたいくらいつらい」と気持ちを打ち明けていった。

 《むなしいですね》《私はもう何も残っていません》

 白石被告は被害者と同じ境遇を装い、死ぬ方法や待ち合わせる駅を提案。《無理なく出発すると何時になりますか》《遅れそうとかあったら言ってください》と繊細な気配りを見せた。

 被告の供述によれば、合流後の会話中も「相手の悩みを深掘りし、外見を褒める」など無害な人物を演じた。だが、心の中では「金を引っ張るか、部屋に連れて乱暴したら殺害する」ことを考えていた。

 事件の原因を裁判官から問われた被告は「当時のSNS事情は、弱っている人をだまそうとする人が多く、(自身も)次々とできてしまった」と述べた。鑑定医は被告の性格について、自分に都合のいいように他人を動かす「操作性」にたけていると分析した。

 生きづらさを抱えた女性を支援するNPO法人「BONDプロジェクト」(東京)によると、白石被告のような「理解者のふりをした人物はインターネット上にあふれている」という。丁寧な態度から「いい人だ」と誘いに乗った末に「性被害などに遭って傷つく女性をたくさん見てきた」と代表の橘ジュンさんは強調する。

 座間事件後も、SNSをきっかけにした事件が後を絶たない。橘さんは「ネットでの出会いの危険性を教えてあげる機会と、若い子が気持ちを打ち明けられるリアルな居場所が必要だ」と話している。(加藤園子)

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