生活や業務のデジタル化が加速する昨今、膨大なデータの管理は大きな問題だ。米Googleは、2年以上利用が確認できないアカウントなどを対象に保存データを削除すると発表したが、HDDやDVD、USBメモリなどオフラインの記憶媒体にも「寿命」はある。思い出の写真や貴重なデータをどう残せばいいのか。
2021年6月以降にデータ削除の対象となるのは、「Gmail」「Google フォト」「Google ドライブ」で2年以上利用が確認されなかったり、同社が規定した15GBの保存容量を超過していたりするアカウントだ。削除対象となる3カ月前に通知が届き、アカウントにログインしたり追加の保存容量を購入するなどすれば削除は回避できるという。
ITジャーナリストの三上洋氏は、「無料で容量無制限利用をうたうクラウドサービスもあるが、基本的にはいずれ有料化するという理解が重要だ。無料期間のうちにデータを多く保存しているユーザーほど、有料化が決定しても膨大なデータの移行先や移行するデータの整理などに手間がかかり、結局料金を支払うことが無難だと判断するためだ」と指摘する。
クラウドサービスを利用しなくても、USBメモリやCD-RやDVD-Rなど、手軽に入手できる記憶媒体は多いが、いずれも寿命からは逃げられないという。
「CDに自らデータを書き込み保存するCD-Rなどは、素材の劣化により10年足らずでデータが飛んだり、ディスクを読み込めなくなることもある」と前出の三上氏。
PCなどのデータのバックアップでUSBメモリを使ってきた人も多いはずだが、各メーカーは動作保証年数を公表している。製品にもよるが、おおよそ10年程度が寿命とされている。
寿命を過ぎたUSBメモリは復旧可能なのか。データ復旧において国内トップシェアの企業、デジタルデータソリューションで、データ復旧作業を担うデジタルデータリカバリーの担当者は、「いわゆる寿命を過ぎたUSBメモリでも、無料の診断を経て復旧作業に取り掛かることは可能だ。ただ、高度な解析技術が必要になるため、費用の見積もりが数十万円程度と高額になることもある」と話す。
デジタルデータを管理するコツについて三上氏は「少なくとも5年に一度は記憶媒体を確認し、データが読み込めるならば新しい媒体にデータを移し替えるという定期的なメンテナンスを心掛けることに尽きるのではないか」と助言する。
カネをかけるか手間をかけるしか、なさそうだ。
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