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» 2020年12月23日 07時00分 公開

佐渡島が「あつ森」で島おこし 実は観光とは別の目的で始まった

新潟県佐渡市が「あつまれ どうぶつの森」の中に佐渡島をモチーフにした島を作って公開し、話題になっている。もとは世界農業遺産に認定されている「佐渡の里山」の情報発信を行うのが目的だったが、市全体のPRに活用することになった。

[産経新聞]
産経新聞

 日本最大の離島、新潟県佐渡市が、任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」の中に、佐渡島をモチーフにした島を作って公開し、話題になっている。芸能人などがPRのために島を作って公開する例はあるが、離島の市町村が作るのは初めてという。市の担当者にその舞台裏を聞いた。(本田賢一)

photo さどが島の中に登場するキャラクターのトキぼう(右)とトキオ(佐渡市提供)

櫻坂46のロケ地も

 あつ森は、同社の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」のゲームソフト。プレーヤーが無人島で生活しながら、家を建てたり、川や池を作って橋を架けたりして、自分好みの島を作っていく。2020年3月に発売されると世界的なブームになり、販売本数は全世界で累計2600万本以上となっている。

 このゲームをオンライン(有料)でやると、他のプレーヤーがつくった島を見に行くことができる。同市もオンラインのプレーヤーとして参加し、佐渡金山などの観光名所を盛り込んだ「さどが島」を作成。オンラインで楽しんでいる世界のプレーヤーに12月10日から島を公開し、佐渡のPRに活用している。

 島は6つのエリアから成る。佐渡の里山をイメージした「田んぼアート」、世界文化遺産への登録を目指す「佐渡金山」、人気観光スポットの「佐渡博物館」「大野亀」「加茂湖」「宿根木(しゅくねぎ)」だ。

photo 「あつまれ みんなの森」に登場する「さどが島」のマップ(佐渡市提供)

 特に大野亀は、アイドルグループ「櫻坂46」の12月9日発売のファーストシングル「Nobody's fault」のミュージックビデオのロケ地にもなっており、話題性抜群だ。

2倍以上の“来島”

 さどが島を公開初日に見に来た人は約2300人。これまでに離島以外の自治体が島を公開しているが、初日の“来島者”は1000人程度で、相場の2倍以上の人が訪れた格好だ。

 また、佐渡市がTwitterで島の公開を告知したところ、投稿を転載する「リツイート」が約2000件、投稿への賛同を表す「いいね」が約4600件に達した。いずれも通常の200倍近い数字という。

 さどが島を担当する同市農業政策課の宇治美徳係長は「さどが島を楽しむ様子を撮った動画がすでに(動画投稿サイトの)YouTubeにアップされている。あつ森の威力はすごい」と驚く。

 熱烈な佐渡ファンも島を訪れているようで、「あの場所には灯台があったはずとの指摘を受け、あとから灯台を付け足すなど、より細かいところまで再現する作業をプレーヤーと一緒に進めている」(宇治氏)。

 渡辺竜五市長は「ゲームで佐渡のファンになってもらえれば」と期待する。

世界農業遺産

 実は、あつ森の中に島を作る企画は観光PRとは別の目的でスタートした。佐渡の里山では自然やトキなどの生態系を守りながら稲作が行われており、国連食糧農業機関(FAO)は11年、佐渡の里山を将来にわたり継承すべき「世界農業遺産」に認定した。21年は認定10周年で、これをいかに情報発信していくか検討する中で、あつ森の活用が浮上した。

photo さどが島の中で登場する「田んぼアート」エリア(佐渡市提供)

 「県にも世界農業遺産の担当者がいて、その方から県の広報広聴課を通じあつ森活用の話をいただいた」(宇治氏)。さどが島の田んぼアートエリアには「世界農業遺産」の文字が登場する。どうせなら観光名所も織り込んで楽しめるようにしようと、現在のさどが島ができ上がった。

 佐渡を訪れる観光客は減少傾向にあるだけに、宇治氏も「ゲームで佐渡を知って頂き、コロナ収束後はぜひ佐渡を実際に見にきてほしい」と話している。

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