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» 2020年12月24日 07時00分 公開

「質問に返事なし」「自習のみ」 大学オンライン授業の実態

文部科学省の調査で、大学がオンラインによる遠隔授業の継続を余儀なくされている状況が明らかになった。遠隔授業を効果的に行うには授業の工夫が不可欠だが、課題を出すだけの授業や質問しても返事がない授業など粗雑なものも目立つ。

[産経新聞]
産経新聞

 文部科学省が23日に公表した対面授業の実施割合に関する調査では、大学がオンラインによる遠隔授業の継続を余儀なくされている状況が明らかになった。遠隔授業を効果的に行うには授業の工夫が不可欠だが、教員の資質が問われるような粗雑な授業も目立つ。新型コロナウイルスを契機として、対面と遠隔の融合が模索される中、大学はさまざまな課題を抱えている。

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課題の指定だけ

 「これで授業と呼べるのでしょうか……」

 東京都内の私立大1年の男子学生(20)は絶句する。英語の授業では、教員から「次の課題を終えてください」と教科書の当該8カ所を指定する英文のメールが届くだけで、講義の録画配信すら行われない。

 都内の私立大2年の女子学生(19)も「遠隔でフランス語の授業を受けているが、音声も画質も悪く、舌の動かし方など発音の仕方が全く身につかない」とため息をつく。

 2人は「大学生対面授業再開プロジェクト」という活動に携わり、全国の学生から遠隔授業の感想などを募ったところ、授業の質の低さを訴える声が多かった。「自習のみで先生の顔や性別すら分からない」「質問しても返事がない」

 オンライン化による授業の質の低下について、専修大の渡邊隆彦准教授(国際金融)は「講義ノートを棒読みする授業は昔からあったが、教室特有の雰囲気でごまかすことができた。だが、オンライン化により授業内容そのものが注目されるようになり、教員の力量が顕在化した。教育にかける教員の情熱が問われている」と指摘する。

ハイブリッド難しく

 遠隔になったことで単位取得のハードルを下げている授業は多く、粗雑でも好意的に受け入れる学生も少なくない。ただ、大学側に学生の不満を解消しようと模索する動きもある。

 芝浦工業大(東京)は授業の質を向上させるため、教職員が研究会をつくり、学生の声を聞きながら10月までに13回の協議を行った。関西大(大阪)は対面復帰を明確に打ち出し、秋学期(後期)は8割以上の授業科目を対面化した。

 「学生の満足度・納得度を上げてほしい」(萩生田光一文科相)と、同省は対面化を繰り返し要望しているが難しさもある。都内の私立大教授は対面と遠隔を併用した授業を計画したが、出席者の多くが選んだのは遠隔での参加。授業は2時限目で、1、3限目に遠隔授業を受ける学生は移動が難しかったという。

 この教授は「膨大な授業数を遠隔と対面で無理なく組み立てることは至難の業。双方の融合はハイブリッド型授業として注目されるが、容易には実現できないだろう」と懐疑的な見方を示した。

photo 文部科学省

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