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» 2020年12月24日 07時00分 公開

唾液とAI解析でがん超早期発見 開発の「サリバテック」砂村眞琴代表に聞く

日本人の死因のトップにランクされているがんを、唾液で超早期発見する検査方法に注目が集まっている。採取した唾液をAIが解析するという医学とITが融合した最新の検査方法で、痛みもなく簡単に検査できるのが強みの一つだ。

[ZAKZAK]
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 新型コロナも怖いけど、死者数で比べれば圧倒的に多いのは「がん」である。1981年以降、がんは日本人の死因のトップにランクされている。一部を除いて決定的な予防策がない中、唾液で5種類のがんを超早期発見する検査方法に注目が集まっている。採取した唾液をAI(人工知能)が解析するという医学とITが融合した最新の検査方法を取材した。

photo 成分分析にかけられる前の唾液検体(一部画像を加工しています)

 普段の生活で、大半の人は唾液に特段意識することは少ないだろう。それがなぜ、がんと関係するのだろうか。

 「唾液には健康状態の指標となる多くの情報が含まれています。がん細胞から染み出す代謝物質は血管を通り、唾液中に染み出します」

 慶應義塾大学先端生命科学研究所と東京医科大学のグループの研究を基に、この検査方法を開発した「サリバテック」(山形県鶴岡市)の砂村眞琴代表はこのように解説する。

photo 「サリバテック」砂村眞琴代表

 医学的には唾液は「身体の鏡」と言われ、この「鏡」に注目したのが唾液検査だ。

 「サリバ」は英語で唾液を意味し、2013年の設立時にそれを社名の冒頭に入れ、検査名も「サリバチェッカー」と命名した。

 この検査では1度に複数のがんのリスクが分かることが“売り”。それは膵臓がん、肺がん、大腸がん、乳がん、口腔がんの5種類だ。

 膵臓がんは早期発見が難しく、死亡率も高い。肺がんも現状の検査では早期発見が難しく、がんによる死亡数のトップ(男女合計)に位置する。大腸がんでは女性のがん種別の死因のトップ。乳がんは9人に1人の女性が罹患(りかん)し、口腔がんも最近増加している。

 唾液数滴でこれらのがんのリスクを網羅的に判定するのがサリバチェッカーの特徴だ。採取した唾液の成分を検査機器で分析したうえで、がんで異常値を示す物質の濃度についてAIが、がん患者のデータと比較・解析して、リスク判定する。

 「米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)など世界中の研究者や技術と連携して、医学と先端技術をミックスした検査方法を編み出しました」と砂村代表。

 東京医科大や慶應大などで共同研究を行い、同検査に関する論文は11本公表されている。2017年から一般向けに検査(自由診療)が始められ、全国の医療施設(医科、歯科)約1300カ所で導入されている。

 唾液検査のメリットはいくつもある。

 それは「痛くない」「簡便」という点から検査嫌いの人でも気楽にできることだという。興味のある人は、チェックリスト(別掲)で確認してほしい。

 がんは早期に見つかれば、治療も進行がんよりも楽だし、生存率も大きく変わってくる。会社や自治体の健診、あるいはがん検診を受けていても画像検査などに写らない初期のがんもある。

 「通常、健診(検診)は1年おきに受ける人がほとんどだと思いますが、その間にがんを発症することもあります。健診と健診の間に唾液検査を受ける方も多いです」と砂村代表。

 唾液検査で“安心を買う”というのはどうだろうか。 (取材・佐々木正志郎)


 砂村眞琴(すなむら・まこと) 1953年生まれ。東北大学大学院で博士号(医学)取得。カナダ、米国、英国での研究員、東北大学消化器外科助教授などを経て2013年、サリバテック代表取締役CEOに就任。現在、大泉中央クリニック院長。東京医科大学八王子医療センター兼任教授、慶応大学医学部非常勤講師も兼務。

 がんリスク・唾液検査チェックリスト

 □家族にがんの人がいる

 □検査を受けるのが面倒

 □痛い検査は苦手

 □身体の不調が気になる

 □便に血が混じる

 □糖尿病と診断されている

 ※1つでも該当すれば、唾液検査を推奨

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