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» 2021年01月07日 07時00分 公開

政府、機密や技術守る資格創設へ 研究成果の海外流出を防ぐ

政府が、先端技術の海外流出防止などを目的として、機密や技術情報の取り扱いに関する資格の創設を年度内にも具体化させる方針を示した。

[産経新聞]
産経新聞

 政府は2021年、経済安全保障の取り組みを本格化させる。外国資本による安全保障上重要な土地の買収問題に対する法整備を第1段階と位置付け、先端技術の海外流出防止や機密取り扱い資格の創設などを年度内にも具体化させる。国家安全保障局(NSS)を中心に検討を進め、米中対立を背景に厳格化されつつある国際ルールから後れを取らないよう、国家安全保障戦略の改定も視野に入れる。

photo 自民党・新国際秩序創造戦略本部の記者会見で記者団の質問に答える甘利明税制調査会長=20年12月16日午後、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)

コロナで顕在化

 「弱みをどう克服し、強みをどう武器として捉えていくか。自律性と、世界になくてはならない国、日本という不可欠性を戦略的に構築していくことだ」

 自民党の新国際秩序創造戦略本部がまとめた経済安保戦略の提言について、同本部の甘利明座長は20年12月22日、官邸で記者団にこう説明した。受け取った菅義偉首相は「時宜にかなった提言」と述べたという。

 経済安保を巡っては、新型コロナウイルスの世界的拡大を機にサプライチェーン(供給網)などの問題が顕在化した。

 新型コロナの水際対策で人の移動や物流が寸断され、国内では生産を中国に依存していたマスクなどの医療資材不足が深刻化した。政府は経済対策として国内投資や東南アジアでの拠点整備を支援し、供給網の脱中国依存を図った。

脆弱性の克服

 「弱みの克服」に向け、政府が第1段階に位置付けるのが、外資による安保上重要な土地の買収問題だ。防衛施設や国境離島などで中国や韓国資本による土地買収が進んでいるとされるが、現行制度では国籍などの土地所有者情報と利用実態を把握する手段がない。

 政府は、不動産登記簿など各省庁が所管する土地情報を一元的に把握▽安保上特に重要な土地購入者には事前届け出を義務付け▽違反者に罰則を科す――などの法整備を検討。次の通常国会で関連法案を提出する。

 政府が次に狙いを定めるのは先端技術の海外流出を防ぐ態勢の構築だ。大学や研究機関では、人工知能(AI)などの研究分野で多くの中国人留学生がマンパワー不足を支えている。中国系企業からの資金提供で研究開発を行っているケースもあり、技術流出が懸念されている。

 政府は20年7月、省庁横断的な水際対策の強化などを含めた「統合イノベーション戦略2020」を策定した。文部科学省や外務省などが連携し、出入国管理やビザ発給に際し、留学生や研究者などの審査強化に取り組む方針を定めた。

米国にならう資格創設

 さらに政府は、防衛機密や先端技術を扱う人の信用度を保証する認証制度の創設を検討している。

 欧米などには国家機密へのアクセス権限を持つ人を限る「セキュリティ・クリアランス制度」という認証制度がある。米国では機密レベルを3段階に分け、レベルごとにアクセスできる情報の種類や流出防止措置などを厳格に定める。米国では近年、中国との対立を背景に、AIや量子コンピュータなどの先端技術も流出防止を求めており、対応が急務になっている。

 政府は各国の制度を調べており、国家機密だけでなく先端技術を扱う際も含め、独自の資格制度を創設する方向で検討している。

 自民党の提言では、こうした経済安保の国家戦略策定へ向けた「一括推進法」を22年にも制定するよう求めた。政府は13年に策定した安全保障戦略の改定も視野に入れる。政府高官は「新型コロナの登場もあり、次の改定は安保環境の変化を踏まえ、経済安保をどう位置付けるかがメインになるだろう」と語った。(市岡豊大)

 ■経済安全保障 経済的観点から他国の影響力を排除し、自立を保持するための政策。自民党新国際秩序創造戦略本部がまとめた提言では「我が国の生存、独立及び繁栄を経済面から確保すること」と定義する。中国の経済成長を背景に18年、ペンス米副大統領が行った米中の「新冷戦」を予感させる演説で注目された。米国は情報通信分野からの中国製品排除など動きを強めている。

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