大物タレントにとって2021年は、過去にない受難の年になるかもしれない。テレビ各局はコロナ禍で広告収入が激減、某局の4〜10月の広告収入はなんと80%も減ったという。
視聴者のテレビ離れは進み、若者はYouTubeなどSNSへの依存が増している。危機に追い込まれている日本の放送業界は、復活を果たすための計画を画策中だ。
まずは支出を抑えるため、ターゲットになるのが大御所と呼ばれるベテランタレント。ある大御所は2つのテレビ番組に対し、これまでのギャラにさらに200万円の増額を要求したという。
局側はこれ以上は無理だと大物タレントを切る方向で話を進めている。むしろギャラアップの要求は好都合で、これを理由にリストラができるというわけだ。
タレントをベテランから若手に切り替え、世帯視聴率15%、個人視聴率10%を新しい基準として目指す。これがテレビ局の再生ビジョンだ。
スポーツの動画配信サービス、DAZNは米国のスポーツメディア企業がNTTなどと提携して日本でのサービスを行っている。こうした動きに乗り遅れてはいけない。
テレビ局もNetflixやAmazon Prime Videoなどの新興メディアとの共存を画策している。そのためにも『ドクターX』(テレビ朝日系)や『半沢直樹』(TBS系)のようなヒットコンテンツを作り出すことが急務なのだ。
最終回で平均視聴率16.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をあげた『七人の秘書』(テレビ朝日系)なども好例となるだろう。
テレビだけでない。日本の芸能プロダクションも過度期を迎えている。1970年代、多くのプロダクションがスタータレントを生み出し、拡大を続けた。
だがカリスマ的な威光を放つオーナーたちはすでに70代後半から80代に突入している。例えば、ジャニーズ事務所も20年、創業者のジャニー喜多川氏が逝去し、93歳になる姉の藤島メリー泰子氏は名誉会長職に退き、代替わりをした。
芸能プロダクションは初代の力が圧倒的なために、2代目への継承が難しい。だが大きな実績を残したオーナー、名マネジャーは現役最後の時代を迎え、間違いなく世代交代は最終段階を迎えている。そしてタレントたちの世代交代も並行して進んでいる。
2021年は世代交代の大きな転換期になる。(芸能文化評論家・肥留間正明)
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