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» 2021年01月08日 07時00分 公開

琵琶湖を飛ぶ水上飛行機復活へ 京都も空から遊覧

滋賀県の琵琶湖に半世紀ぶりに水上飛行機が復活する可能性が高まってきた。富裕層をターゲットに小型の水上機で京都や滋賀を遊覧するプランなどをそろえる予定。

[産経新聞]
産経新聞

 滋賀県の琵琶湖に半世紀ぶりに水上飛行機が復活する可能性が高まってきた。地元の大津市と瀬戸内海で水上機による遊覧飛行などを行っている「せとうちSEAPLANES」(広島県尾道市)が2020年11月、琵琶湖を離着水場所とする小型の水上機の運用実験を実施。モニター客らを乗せて琵琶湖上空で遊覧飛行を行い、実験は成功裏に終わった。定期運航という完全復活に向けては課題も残るが、琵琶湖ならではの利点もあるとして事業者は意欲的だ。(岡田敏彦)

photo 琵琶湖で離着水する水上飛行機=令和元年11月、滋賀県大津市(彦野公太朗撮影)

富裕層をターゲットに

 実証飛行では、乗客6人乗りの水上機(水陸両用)で関西国際空港を離陸。琵琶湖南部に位置する大津市におの浜の桟橋に接岸し、琵琶湖や京都駅周辺上空を約30分間、遊覧飛行した。

 モニター客として乗り込んだ京都府の60代の主婦は「京都御所や清水寺がずっと近くに見えた。琵琶湖もキラキラしていてすてきでした」と笑顔をのぞかせていた。

 琵琶湖では1961年から72年までの間、琵琶湖南部に位置する大津市の浜大津を起点として水上機による遊覧飛行サービスが行われていたが、利用客の減少などで廃止された。今回の復活計画では、こうした経緯を踏まえたうえで新たな構想のもとに進められている。

photo 半世紀前に琵琶湖で周遊飛行を行っていた水上飛行機=大津市歴史博物館提供

 その一つは、新型コロナウイルスの感染状況を考慮した新たな観光形態をとることだ。せとうちSEAPLANESの岡崎剛社長は「コロナ禍でもあるので、グループ、団体というより、ファミリーや個人での利用を進めていきたい」と3密を回避しての旅行に活路を見いだす構えだ。とはいえ「決して安い乗り物ではない」(岡崎社長)ことから、富裕層をターゲットに設定している。

 もう一つは、琵琶湖遊覧にとどまらないこと。格納式の車輪を持つ水陸両用の水上機を使い、関西国際空港の滑走路を離陸し、琵琶湖に着水するという新たなルートを設定。関空を利用する海外観光客の取り込みを狙うとともに、京都上空など周辺の遊覧もプランに盛り込んで魅力を高める。

水上機ならではの課題も

 飛行機が成長期を迎えた1920年代は、「これからの飛行機はほぼ全て水上機になるのでは」との考えが有力だった。

 当時は主翼の高揚力装置(フラップ)が未開発で、離陸のために長い滑走路の整備が必須だったが、水上機は陸上滑走路が不要で、水面はいくらでも利用できるとの利点から、大いに流行したという。岡崎社長も「当社は空港がないところでも降りられるのを唯一の強みとしている」と強調する。

 しかし、メリットばかりではない。

 同社の運用する機体にはもちろんフラップがあり、離着水に必要な滑走距離は最大約900メートルと比較的短いが、それでも、プレジャーボートやジェットスキーが滑走水域に近づかないような対策が必要となる。滑走路をフェンスで囲み部外者を立ち入り禁止にできる陸上の空港に対するデメリットだ。今回の実験でも「警戒船を2隻出している」と岡崎社長。さらに、定期運航船や地元のマリーナ、漁協など水域に権利を持つ団体や地元住民の合意を得るための調整も必要だが、これらについては、「やはり過去飛んでいたところは比較的ご理解いただきやすい」と前向きに捉えている。

 琵琶湖ならではの利点もある。海ではないので波のうねりが少なく、離着水しやすい点と海水と違い真水でさびにくいという点だ。瀬戸内海での運航では毎日、運航後に水洗いし、防錆(ぼうせい)作業も毎週行っている。真水ではこの作業が軽減し、コストダウンにつながる。岡崎社長は「こうした面からも琵琶湖は魅力的だ」と強調する。

 定期運航の実現に向け、営業面でも大きな課題が残る。岡崎社長は「やはり旅行会社をはじめ地元のホテルや観光施設などと連携をする必要がある」と話している。

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