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» 2021年01月14日 07時00分 公開

面接中止、オンライン導入……首都圏の中学受験スタート

コロナ禍での中学受験がスタートした。面接の取りやめや筆記試験のオンライン化、出題範囲の変更など入試の様相は一変。感染リスクへの危惧から恒例の受験風景は様変わりを余儀なくされそうだ。

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が4都県に再発令されて初の日曜日となった10日、首都圏で中学受験がスタートした。面接の取りやめや筆記試験のオンライン化、出題範囲の変更など入試の様相は一変。感染リスクへの危惧から試験慣れのため本命校以外に挑戦する「お試し受験」は一定程度減るとみられ、恒例の受験風景は様変わりを余儀なくされそうだ。(玉崎栄次、山本浩輔)

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濃厚接触者は追試

 「感染の不安はあるが、事前に学校側の対策を見て入試自体は大丈夫かなと思った。それでも、会場まで向かう電車内など、どうしてもリスクはある」

 10日に入試が行われた、さいたま市の栄東中。受験生の母親=東京都府中市=は不安をこう口にした。別の保護者からは「家庭内でもマスクをしている」「1カ月間、夫と受験生の次女を会わせない」など、感染予防に神経質になっている声が聞かれた。

 同校では、携帯用の消毒液を受験生に1人1本配布。試験会場となった教室の机は3方向が飛沫(ひまつ)を防ぐついたてで囲われ、戸惑いの表情を浮かべる受験生も少なくなかった。

 同校入試広報センターの井上和明センター長は「6000人の受験生を分散させるために、会場と日程、試験開始時間を分けた。保護者の不安は払拭(ふっしょく)しきれないかもしれないが、校内での感染は必ず防ぐ」と意気込む。

photo 中学入試を行った栄東中学校=10日午前、さいたま市(佐藤徳昭撮影)

 私立中の入試の開始日は地域で異なり埼玉は10日、千葉は20日、東京と神奈川は2月1日から。各校とも感染対策に苦心しながら準備を進めている。

 昭和学院中(千葉県市川市)は算数1科目によるオンライン受験を導入し、来校での受験と選択可能にした。オンライン受験では、テレビ会議システムで監督役の教職員が見守る中、画面に設問が表示され、事前に届いた解答用紙に記載する。大問を解くごとに教職員に見せる仕組みだ。

 フェリス女学院中(横浜市)は「3密」を回避するため、面接を取りやめる。横浜雙葉中(同市)も、合否判定とは別に例年1月に実施している保護者同伴の面接中止を決めた。入試担当者は「学校と家庭が互いに理解を深める場なので迷ったが、緊急事態宣言発令の不安もあり断念した」と明かす。

 2月1日に入試を行う開成中(東京都荒川区)は、コロナ感染者や濃厚接触者を対象に23日に追試を設定。「初めてのケース」(教頭)だという。

 2020年の一斉休校に伴う授業の遅れも影を落とす。日本大学第二中(杉並区)は4教科全てで問題数や試験時間を減らして対応。理科は小5までの範囲で出題することにした。

国私立に人気集中

 ただこうした異例の状況に反し、今春の入試では受験生の増加が予想される。大手進学塾「栄光ゼミナール」の調査では、首都圏4都県の国私立中受験者数は推計で5万2500人。20年よりも1100人(約2.1%)増える見通しだ。

 コロナ禍では、公立校でオンライン授業の導入が伸び悩んだ。一方で、多くの国私立校では迅速に対応が進み、授業の遅れは目立たなかったため、学習環境が充実した国私立校の人気が高まり、受験者増につながった可能性は否めない。

 一方、受験生の意識にも変化が生じる。大手進学塾「サピックス」の広野雅明教育事業本部長によると、会場や移動に伴う感染リスクに対する不安から、必要以上の「お試し受験」が見送られると予想され、1人当たりの併願数は減少しそうだ。

 広野氏は「第1志望の受験で最高のパフォーマンスを発揮できるように、感染防止を徹底しつつ、家庭で受験の計画を慎重に立ててほしい」と助言した。

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