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» 2021年01月21日 09時00分 公開

フォロワーが幸せな気分になる醤油店 今も続く「Twitterの奇跡」

「上司と同僚が『フォロワーが40人もいて、いいねもたくさんついててメッチャバズってるじゃん!』と言っていました」と投稿し、大反響になったしょうゆメーカー「安本産業」。今でもお歳暮ギフトのネット注文数は例年の約10倍を記録。従業員は増え、10年以上使っていた会社のPCも買い替えることができたという。

[産経新聞]
産経新聞

 2020年8月、短文投稿サイト「Twitter」のフォロワー(登録者)数が40人に増えたことを「上司と同僚が『メッチャバズってる』と言ってくれた」と喜ぶつぶやきをしたところ、大反響になった松江市の老舗しょうゆメーカー「安本産業」。反響を受けて注文が殺到し、在庫がゼロになった一連の出来事は「老舗醤油(しょうゆ)店に起きたTwitterの“奇跡”」として報じたところだが、今でもプチ奇跡は続いているようだ。同社を訪ねると、20年12月のお歳暮ギフトのネット注文数は例年の約10倍を記録。9人だった従業員は12人に増え、10年以上使っていた会社のPC1台も買い替えることができたという。

photo 新しく購入したPCを操作する男性社員=1月12日、松江市

「あなたが中の人?」

 「わざわざ来ていただいてうれしいです」。「やすもと醤油」を製造・販売する1885年創業のしょうゆメーカー「安本産業」。約4カ月ぶりに訪ねると、公式Twitterで話題になったつぶやきを投稿した30代の男性社員が出迎えてくれた。

 男性によると、投稿が話題になってからTwitterを見て店を訪れる観光客が増えたという。男性は名前や顔を明かしていないが、「訪れた人から『あなたが中の人ですね』とよくいわれる」と苦笑い。

 同社が公式Twitterを開設したのは20年6月。Twitter担当を任されたのが、Twitter初心者の男性だった。

 話題となったつぶやきは20年8月26日の投稿。「(一応)企業アカウントなので成果がないとTwitterを辞めさせられてしまう厳しい世界です」とした上で「アカウントを見た上司と同僚が『フォロワーが40人もいて、いいねもたくさんついててメッチャバズってるじゃん!』と言っていました。当分の間は大丈夫そうです」と投稿した。

photo ネットで大反響となった20年8月のTwitterの投稿

 わずか40人のフォロワー数を上司が評価してくれたというほのぼのとした内容に、賛同を示す「いいね」は18万を超え、公式Twitterのフォロワー数も9万人に。注文が殺到して在庫がゼロになった。

大手衣料品店とコラボ

 同社によると、ネットでの注文を再開できたのは約1カ月後。話題になる前は1日1、2件だったネット注文は今も10件以上入る。PCが新しくなった男性は「起動が早くなり、快適です」。

 一夜にして人気となった同社の公式Twitterの現在のフォロワー数は9万人。会社の規模からするとかなり多いといえそうだ。男性は現在も社内の出来事を中心に毎日1、2件を投稿する。

 「社長夫人が個人宅に配達に行った際の会話。『あんたのところはすごい炎上してるらしいね。よかったわね』。バズったことで、地元でも温かいお言葉を頂戴していると喜んでいました」(20年10月9日)

 「発信すれば今も1000、2000件の『いいね』を頂く。プチバズり中です」と男性。この間、カジュアル衣料品販売の「ライトオン」(東京)からの提案で合同でプレゼントキャンペーンを実施したこともあった。男性は「バズりがなければ絶対に実現しなかったこと。信じられないです」と振り返る。

「幸せな気持ちに」

 この他にもTwitterの機能を活用したアンケートを実施したり、動画を投稿したりと新しいことにも挑戦している。

 「バズったのは何が良かったのか」。男性はよくそう聞かれるという。その理由を自分でも知りたいと、思い切ってフォロワーに尋ねてみた。するとこんな答えが返ってきた。

 「毎日一生懸命で、でも皆さん楽しそうで、ずっと見ていたい」「幸せな光景が頭の中に浮かび、こちらも幸せな気持ちになる」

 男性は「『お疲れさまでした』と投稿しただけで皆さんが返事をくれる。バズった直後は怖いと感じたこともあったが、今は投稿するのが楽しい。皆さんにできる限り返信するのが今後の目標です」と話している。

photo Twitterの投稿が話題になった安本産業=1月12日、松江市

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