ITmedia NEWS >
ニュース
» 2021年02月04日 10時00分 公開

危険なSNS「闇バイト」 出品者誘い出し強盗 犯罪者集団が指示

ネットオークションの出品者を「現物が見たい」として呼び出し、商品を奪う事件が増えている。実行役はSNSで募集され、一度引き受けると、脅されて逮捕されるまで何度も犯行を繰り返させられることもある。

[産経新聞]
産経新聞

 インターネットオークションで高級腕時計を出品していた男性を「現物が見たい」と呼び出し、腕時計を奪ったとして大阪府警に強盗致傷容疑で逮捕された男が、SNSで「闇バイト」の募集に応じ、指示に従って犯行に及んでいたことが3日、捜査関係者への取材で分かった。同様の手口の強盗事件は東京でも発生。犯罪集団がSNSで実行役を集めて各地で犯行を繰り返している疑いがあり、府警などは警戒を強めている。(小松大騎、桑波田仰太)

photo

 男は名古屋市名東区の会社員、佐藤創(はじめ)容疑者(28)。逮捕容疑は1月24日午後6時15分ごろ、大阪市中央区の商業施設「なんばスカイオ」で、大阪府内の男性会社員(42)の顔に虫よけスプレーを噴射。両目に軽傷を負わせ、腕時計を奪ったとしている。

 捜査関係者によると、男性はネットオークションに、世界五大時計とされる「A・ランゲ&ゾーネ」社製の290万円相当の腕時計を出品。購入希望者という人物から「買う前に現物が見たい」とメールがあり24日午後に同区の百貨店内にある時計売り場で待ち合わせをした。

 その後、男の声で「場所が分からないので、移動してほしい」と電話があり、近くのなんばスカイオの通路に移動したところ、突然佐藤容疑者に襲われ、腕時計を奪われた。佐藤容疑者は逃走したが、男性が追いかけて取り押さえた。

脅され、捨て駒に

 「借金返済のために金が欲しかった」。佐藤容疑者は逮捕後に動機をこう説明し、「数日前に(SNSの)Twitterで闇バイトに応募し指示に従って実行した」と供述。「報酬は腕時計を換金した額の20%」だったといい、奪った後に自身で換金するように指示されていた。

 指示役との面識はなく、メッセージが一定時間で消える通信アプリ「テレグラム」を使って指示を受けていたという。男性との事前のやりとりは別の人物がしており、佐藤容疑者は場所や時間を伝えられ、名古屋から腕時計を奪う実行役として来阪したとみられる。

 Twitterなどでは「闇バイト」と検索すると、「本日動ける方、仕事紹介できます」「お金にお困りの方、即日即金可能です」などの投稿が見つかり、応募のメッセージを送ると、犯罪の実行役をするよう指示される。身分証などの提出を求められ、一度引き受けると、脅されて逮捕されるまで何度も犯行を繰り返させられることもある。

新たな手口に警戒

 指示される犯罪は、特殊詐欺で高齢者からキャッシュカードを受け取る「受け子」などが多いが、最近は強盗事件も増えている。2020年はSNSで集められた若者らがガスなどの点検業者を装い、民家に押し入る事件が大阪や東京近郊で連続発生、21年に入ってからはネットオークションの出品者が狙われる手口の事件が相次いでいる。

 1月9日には東京都港区の駐車場で、ネットオークションに高級腕時計を出品した男性が男2人組にハンマーのようなもので殴られ、腕時計などが入ったバッグを奪われた。男性は購入を申し出た人物と駐車場で待ち合わせをしていた。

 奈良女子大の岡本英生教授(犯罪心理学)は「ネットオークションでは、代金や商品を先送りさせる詐欺が起きており、高額商品を取引する際に『現物が見たい』という犯人からの申し出に、出品者が誘い出されやすい」と分析する。

 犯行グループは、現金があるかどうか不確かな民家に押し入るより、確実に現物を奪えると考えた可能性があると指摘。「出品者も複数で出向くなど被害に遭わない対策を取るべきだが、そもそも街中で高額商品のやりとりをしない方がよい」と話している。

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.