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» 2021年02月16日 10時00分 公開

SNS発端の傷害事件が急増 乱闘やリンチに走る少年たち

SNSを発端の傷害事件が増加している。兵庫県内では2020年、傷害事件で摘発・補導された少年が前年比で7割以上も増加。専門家はコロナ禍で家で過ごす時間が多くなり、SNSへの依存度がより高まっていることが、背景にあるとみている。

[産経新聞]
産経新聞

 SNS(会員制交流サイト)を発端に、青少年が犯罪に巻き込まれたり、自ら加害者になったりするケースが各地で多発している。兵庫県内では2020年、傷害事件で摘発・補導された少年が前年比で7割以上も増加。SNSがきっかけとなった大規模乱闘も起きた。専門家は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で家で過ごす時間が多くなり、SNSへの依存度がより高まっていることが、トラブル多発の背景にあるとみている。

photo およそ50人が関係する乱闘事件があった公園の芝生広場=神戸市中央区

乱闘加勢、SNSで拡散

 「けんかになりそうだから来てくれ」

 20年8月22日夜、神戸市の内装工の少年A(19)は、無料通信アプリ「LINE」で、地元の友人グループにこんなメッセージを送った。

 集合場所は神戸市中央区の「みなとのもり公園」。SNSを通じて仲間が仲間を呼び、わずか数時間後の翌23日未明、Aに加勢するために現場に駆け付けた少年らは実に40人に上った。中にはAと面識のない人物も含まれていたという。

 捜査関係者によると、きっかけはSNS。数日前のInstagramのライブ配信中にトラブルが起きた。

 配信していたのは高校3年の女子生徒B(18)。「私の彼氏です」とうれしそうに大学生の男性C(18)をライブ視聴者に紹介した。

 これを見ていたBの知人のアルバイト女性D(19)が感想を書き込んだ。「あなたの彼氏、幼いね」。このコメントに腹を立てたCは「殺すぞ」と返信。脅されたと感じたDが22日夜に知人のAに相談したところ「俺が謝らせてやる」と息巻き、Cに連絡を取って公園まで呼び出したのだ。

 C側も10人ほど人を集めていたが、40人が相手では勝負にならない。C本人は乱闘前に現場を去ったが、C側が一方的に殴る蹴るの暴行を受け、顔の骨を折るなど3人が重軽傷を負い、Aを含む少年ら9人が傷害容疑で逮捕された。

傷害事件の摘発急増

 兵庫県警が20年摘発・補導した刑法犯の非行少年は1520人。犯罪別では窃盗罪が大きく減少したが、傷害罪は172人と前年から70.3%(71人)も増えていた。先の乱闘のように加害者が2人以上の傷害事件が目立つ傾向にある。

 20年7月10日には、同県高砂市の港付近で、暴走族の少年(18)らが高校2年の男子生徒(17)ら3人を呼び出し、結束バンドや粘着テープで緊縛し、目隠した上で暴行を加えた。この事件もSNSが発端。被害に遭った男子生徒がLINE上でこの暴走族を名指しし、「つぶす」などと中傷して怒りを買っていたという。

深まる依存

 いずれの事件でも、被害者側は軽い気持ちでSNS上で発信していた。乱闘事件に巻き込まれたCも、女性に「殺すぞ」とメッセージを送った点について「遊びで言った」と話した。ある捜査関係者は「コロナ禍で休校になり、暇になった時間でSNSをしたり、たまったストレスのはけ口を探していたりしたことも、事件の遠因ではないか」と話す。

 警察庁によると、20年の1年間にSNSをきっかけに犯罪の被害に遭った18歳未満の子供は1820人(暫定値)。13年から増加傾向で、過去5年では4.8%増えている。

 兵庫県がコロナ禍に伴う長期休校後の20年7月、県内の高校生約6000人を対象に実施したゲーム・SNSの利用時間の調査では「1日4時間以上」と回答した生徒が29.1%と最も多かった。19年に行った調査よりも同じ回答は13%増加していた。

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 青少年のSNS利用に詳しい兵庫県立大の竹内和雄准教授は利用時間の急速な伸びについて「コロナ禍の休校で他にやることがなく仕方ない部分もあるが、深刻な状況といえる。周囲の大人が子供と協力して、ネットに依存しない環境をつくっていかなければ」と指摘している。

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