ITmedia NEWS >
ニュース
» 2021年04月02日 07時00分 公開

オンライン中継、分散開催……コロナ2年目の入社式

全国の企業や官公庁が入社式や入庁式を開いた。新型コロナ下で2度目となる今回は「密」を避けて実施。感染対策のためにオンラインで開催する企業がある一方、新入社員同士の連帯感、同期意識を強めるため対面開催にこだわる企業も少なくない。

[産経新聞]
産経新聞

 新年度が始まった1日、全国の企業や官公庁が入社式や入庁式を開いた。新型コロナウイルスの感染拡大で2020年は開催を見送った企業も、コロナ下で2度目となる21年は「密」を避けた対応を模索して実施。感染対策のためにオンラインで開催する企業がある一方、新入社員同士の連帯感、同期意識を強めるため対面開催にこだわる企業も少なくない。

photo 2年ぶりに新入社員を集めて開かれた大阪ガスの入社式=1日午前、大阪市中央区(南雲都撮影)

同期と初めて顔合わせ

 コロナが急拡大した20年、開催そのものを断念する場合が多く、研修のなかで経営陣のビデオメッセージを見るだけの企業も少なくなかった。21年も関西は感染者数が急増する状況だが、オンラインを活用したり、出席者同士の距離を広く取ったりするなど、開催方式に工夫をこらす。

 「えらいときに社会人になったと思うだろうが、長い人生、心配無用。大きな変化は新しいことに挑戦するチャンスだ」

 大阪ガスの藤原正隆社長はマスク姿の新入社員らを前にこう激励した。同社は大阪市の本社で136人の新入社員を3グループに分けて入社式を開催した。

 20年はどのような対応を取ればいいか分からず開催を見送らざるを得なかったが、21年は感染防止対策を徹底。席の間をあける基本的な対応の他、新入社員の自己紹介は事前に撮影した動画を流すなど、できる限りの対策をして対面式での実施にこぎつけた。新入社員の北野真帆さん(24)は「同期と顔を合わせるのはほぼ初めて。経営陣らに会って身の引き締まる思い」と話した。

 大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)も手指の消毒やマスクの着用、スペースを広く取るなどの感染対策を徹底して開催。新入社員101人と河井英明社長ら経営陣が出席した。介護施設を運営するロングライフホールディングは大阪城や通天閣など5カ所の高層建築に約60人が分かれて登る入社イベントを実施。これまでの全員が集まる入社式から、密を避けるため分散して「高みを目指す」(広報)取り組みという。

対面とオンライン併用

 対面とオンラインを併用するのはパナソニック。大阪府門真市の本社で開いた入社式では、マスクを外して発言する出席者は、事前にPCR検査で陰性を確認して参加した。20年は津賀一宏社長の訓示を動画配信したが、より意欲を高めてもらおうと約1100人の新入社員のうち代表者8人が出席。会場をオンラインで中継し、他の新入社員は自宅などで視聴した。

photo 新入社員代表を除く約1100人がオンラインで出席して行われたパナソニックの入社式。冒頭に津賀一宏社長のメッセージが流れた=1日午前、大阪府門真市(前川純一郎撮影)

 会場では出席者の間にアクリル板を設け、社歌の斉唱や集合写真の撮影を省略。同日付で最高経営責任者(CEO)に就任し、6月に社長交代を控える楠見雄規常務執行役員も出席し、今後の経営方針などについて意見を交わした。

 オンラインを活用した会場分散型を取るのは、地方銀行2行を傘下に持つ関西みらいフィナンシャルグループだ。同社が拠点を構える大阪、神戸、大津市に新入社員が分かれて参加した。「同期と困ったときに相談しあえる関係づくりの場を設けたい」と考え、対面開催を決めた。

 その他、関西電力はオンラインを活用。大阪府茨木市の研修所に集まる新入社員と、大阪市内の本店にいる森本孝社長ら経営陣をつないで開催した。

事故の教訓受け止め

 JR西日本は20年に続いて入社式は開かなかった。長谷川一明社長が、新入社員の顔が映し出された2台のタブレット端末に向かって話しかけ、「鉄道の安全なくして会社の進化、成長はなしえないということを肝に銘じてください」と訓示。乗客106人が死亡した2005年の福知山線脱線事故の教訓を重く受け止めるよう呼びかけた。

photo ビデオ会議システムで新入社員に祝辞を述べるJR西日本の長谷川一明社長=1日午前、大阪市北区

 新入社員の大津昴平(こうへい)さん(23)は「入社前に事故のことを調べ直し、同じような事故を二度と起こしてはならないと強く感じている」と話した。この日時点で、脱線事故後に入社した社員は約1万4700人と全体の約56%となった。

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.