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» 2021年04月05日 07時00分 公開

ロシア、米巨大IT企業に罰金訴訟 ネット統制強化が鮮明に

モスクワの裁判所は、露通信規制当局が米IT企業を相手取り罰金を科すよう求めた行政訴訟について、Twitterに計650万ルーブルの支払いを命じた。無許可デモへの未成年者の参加を呼び掛ける投稿を各社が削除しなかったのは違法と主張している。

[産経新聞]
産経新聞

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアの首都モスクワの裁判所は2日、露通信規制当局がTwitterやGoogleなどの米IT企業を相手取り、罰金を科すよう求めた行政訴訟の審理を行い、Twitterに計650万ルーブル(約940万円)の罰金支払いを命じた。イタル・タス通信が伝えた。当局は無許可デモに未成年者の参加を呼び掛ける投稿などを各社が削除しなかったのは違法だと主張している。

 プーチン政権は近年、国内のインターネットの言論統制を強化する一方、会員制交流サイト(SNS)などでの情報拡散を通じて内政干渉しているとして米IT企業への圧力を強めている。今回の訴訟もそうした政策の一環だとみられる。

 Twitterに先立って審理が行われたGoogleに関して裁判所は2日、審理を継続すると決定。Facebookへの審理も始まる予定だ。

 通信規制当局などによると、各社は反体制派指導者、ナワリヌイ氏=収監中=の釈放を求めて1月に露全国で行われた無許可デモの際、未成年者に違法デモへの参加を促す投稿などを削除せず放置。違法な情報の削除義務を定めた露国内法に違反し、1件につき80万〜400万ルーブルの罰金が科されると主張した。当局は各社にそれぞれ3〜4件の訴訟を提起。Twitterへの罰金命令は2件に関するもので、今後、罰金額は増える可能性がある。

 プーチン大統領は1月末、シンクタンク「世界経済フォーラム」が主催したオンライン会合「ダボス・アジェンダ」で、巨大IT企業は影響力の面で国家に匹敵しつつあり、情報をコントロールして人々を扇動し、国家転覆さえ導ける――との自説を披露。直後に大統領府と政府に対し、露国内でサービスを展開する国外IT企業に露国内での事業所開設を義務付ける法案を8月までに作成するよう指示した。税金や罰金の徴収を容易にし、監視を強化する狙いがあるとされる。

 さらにロシアは3月、Twitterに対して、薬物や自殺の誘因など有害情報の削除要請に応じていないとし、通信速度を遅らせる措置を取ると発表。状況を改善しない場合、露国内からのTwitterへの接続を切断するとも警告した。

 ロシアがIT規制に神経をとがらせる背景には、ネットの発達で政権のプロパガンダ(政治宣伝)を担ってきたテレビの影響力が低下している一方、統制が及びにくいネットが政権批判やデモ拡大の温床となっているとの危機感がある。

 経済低迷などで支持率が低下している政権はネット規制を強化する施策を次々と導入。ただ、政権に不都合な情報の完全な遮断は技術的に困難な上、規制強化で国民のさらなる反発を呼ぶジレンマも抱えている。

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