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» 2021年04月21日 07時00分 公開

ユーザー同士すれ違えば、お薦め本を交換する斬新アプリ

ユーザー同士がすれ違うと、おすすめの本を交換し合えるアプリ「taknal」(タクナル)。年間1万のユーザー獲得を目指して2020年末からサービスがスタートしたが、4カ月足らずで8万ユーザーに広がっているという。

[産経新聞]
産経新聞

 街を歩くだけで、新しい本との出会いが生まれる、ユニークなスマートフォン向け無料アプリ「taknal」(タクナル)が本好きの間で話題になっている。ユーザー同士がすれ違うと、互いに登録している本の情報が自動的に交換される仕組み。年間1万のユーザー獲得を目指して2020年末からサービスがスタートしたが、4カ月足らずで8万ユーザーに広がっている。普段は関心のないジャンルの作品にも触れて「きっと本が読みたくなる」。(北村博子)

普段は関心のない本も

 「今日は100冊と出会いました!」

photo 本との偶発的な出会いがあるタクナルのアプリ

 アプリを開くと、半径1km以内ですれ違ったユーザーが薦める本の表紙が並んでいた。本の画面をタップすると、書影とタイトル、著者名、あらすじに加えて、ユーザーが書いた100字以内の感想が添えられている。操作は簡単で、気に入った本は「読みたい本」のリストに保存、後から本を探すこともできる。

 ネット通販でも「お薦めの本」などの推薦機能があるが、購入記録などに基づいた情報のため、ジャンルや傾向は偏る。その点、他人の読書歴に頼るタクナルでは、普段は手に取らない本とも出会うことができる。

 アプリを開発した大阪ガスイノベーション推進部の富田翔さんは「お気に入りの本棚をスマホの中に持ち歩いていると思ってもらえたら」と話す。

大阪ガスの若手社員が発案

 アプリは、大阪ガスグループの若手社員のアイデアを事業化する社内コンテストから生まれ、開発には2年近くかけた。スマホの位置情報を利用している。富田さんは「まずは、日常的に使ってもらうために、説明やマニュアルがなくても分かりやすい仕様にしました」とこだわりを明かす。

photo タクナルのイメージ(大阪ガス提供)
photo タクナルのアプリの画面の一例。その日出合った本数を示す表示の下には、10冊の本のタイトルも表示される(大阪ガス提供)

 20年12月にサービスを開始、当初は1年間で1万人のユーザー獲得を目指していたが、開始わずか2カ月足らずで目標を突破。今では8万の登録があり、10万冊が紹介されている。

 「この世には私の知らない本がいっぱいある!」「無限に読みたい本が増える」「読書傾向が変わるから良い」。Twitterでも本好きの間でコメントが相次ぎ、人気を後押ししたようだ。

 今では書店や図書館、出版関係者らからも注目を集める。仕組みの面白さから、普段は本を読まない人へのアプローチ手段としても期待され、問い合わせや事業提携の申し出が急増している。

 今後は、書籍の購入や定期配達ができる仕組みづくりや、ユーザー同士や著者との交流の場を開設するなどイベント事業にもつなげたい考え。富田さんはタクナルの魅力について「知見が広がるという本の真面目な部分と、すれ違いを生かしたエンタメ性や偶然性、コレクション性など複数の要素を組み合わせたところ」と話す。「さらに精度や魅力を高めて出版業界にも貢献できれば」

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