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» 2021年05月24日 07時00分 公開

婚活の主流、マッチングアプリに潜む怪しい男とその手口

コロナ禍で人気が高まるマッチングアプリ。一方で詐欺などの被害も急増している。国民生活センターによると、20年度に同センターに寄せられたマッチングアプリに関する相談件数は前年度の2倍以上。投資を持ち掛けられ、金銭をだまし取られるケースが多いという。

[産経新聞]
産経新聞

 誠実そうな「理想の結婚相手」は、嘘で塗り固められていた──。マッチングアプリで出会った男性から現金などをだまし取られたとして、交際相手の女性らが男性に慰謝料を求めて集団提訴する計画を進めている。女性らによると、男性は「結婚を前提」としながらも複数の女性と同時交際し、誕生日を偽って現金を贈らせたり高額商品を購入させたりしていた。被害を訴える女性は60人を超えるという。

「一生一緒に…」

 「結婚への真剣な気持ちを弄んだのが許せない」。男性と約10カ月間交際していた堺市の女性会社員は憤る。

photo マッチングアプリで出会った女性(右)と花火を楽しむ男性(被害女性提供)

 女性会社員によると、出会いは2020年1月。登録していたマッチングアプリで男性からアプローチのメッセージが届き、連絡を取り合うように。約半月後、大阪市内の喫茶店で実際に会うことになった。

photo マッチングアプリで出会った2人。「結婚を前提」とした交際だったという

 「付き合う女性とは常に結婚を意識している」と熱く語る男性に対し、「誠実で優しそうな人だ」と感じた。数日後の2回目のデートでは、「本気で一生一緒にいるつもりだ」と告白され、結婚を前提とした交際をスタートさせた。

 男性は交際直後から徐々に本性を現し始める。

 「来月誕生日やねん」。そう切り出され、女性会社員は電子マネー2万円をプレゼント。2カ月後には「一緒にいる人にはずっときれいでいてほしい」と言われ、男性が経営している会社の商品だという水素水生成器を購入する契約を結ばされた。その後も酵素ドリンクなどを買わされ、購入金額は計18万円に上った。

デート現場を目撃

 男性の勧めに再三応じたことに「彼氏だからしようがないかと思った」と受け止めていたが、次第にデートの頻度は減少。急に予定をキャンセルされることもたびたびあり、つじつまの合わない話も多かった。

 不審に思った女性会社員は20年10月、デート後に駅で男性の車を見張っていたところ、約1時間後、見知らぬ女性が車に乗り込む現場を目撃。この女性が駅に戻ってくるのを待って接触し、男性が同時交際していたことが判明した。さらにインターネット掲示板上で同様の被害を訴えていた女性とも連絡を取り合い、21年2〜3月に弁護士を通じて詐欺罪で刑事告訴した。

photo 男性がマッチングアプリで公開していたプロフィール(被害女性提供)

 兵庫県警は4月、3人の女性に誕生日を偽り、誕生日プレゼントをだまし取ったとして、詐欺容疑で男性を逮捕したが、その後、神戸地検伊丹支部が不起訴とした。

 ただ、女性会社員がネット掲示板などを通じて聞き取りを行ったところ、5月13日時点で65人が被害を訴え、25人以上が高額商品の購入契約を結んでいたという。交際期間は最長で4年に及ぶ人も。近く被害者の会を正式に発足予定で、被害者同士で情報を共有し、集団訴訟を起こす方針だ。

 女性会社員は「だまされたと知ったときは恥ずかしくて悔しかった。時間は戻らないけど被害に遭った場合は相談してほしい」と話している。

急増する被害相談

 新型コロナウイルス禍で人気が高まっているマッチングアプリだが、詐欺などの被害相談も急増している。

 国民生活センターによると、20年度に同センターに寄せられたマッチングアプリなどに関する相談件数は、19年度の2倍以上となる58件。うち40件が投資に関する被害相談で、アプリで知り合った人から投資や賭け事などの海外サイトに誘導され、金銭をだまし取られるケースが多い。

 ITジャーナリストの三上洋さんは「アプリに登録するには身分証が必要なため安全だと信じる人も多いが、実際には経歴も写真も簡単に偽れる。他の目的で紛れ込んでいる人もいるという意識が必要」とした上で、「高額商品を購入させたり投資させたりと、早い段階でお金の話が出たら怪しいと思ってほしい」と注意を呼び掛けている。(木下未希)

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