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» 2021年05月24日 07時00分 公開

「順位を優先」「ネット予約を代行」ワクチン接種で詐欺横行

高齢者への接種が本格化する新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り「優先順位を上げる」とうその優遇を持ちかけるなどし、金銭を要求する詐欺とみられる電話が全国で相次いでいる。警察当局や国民生活センターは「怪しい電話には絶対に応じないでほしい」などと注意を呼び掛けている。

[産経新聞]
産経新聞

 高齢者への接種が本格化する新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り「優先順位を上げる」とうその優遇を持ちかけるなどし、金銭を要求する詐欺とみられる電話が全国で相次いでいる。高齢者が「苦戦」するインターネット予約の代行を持ちかけるなど、コロナ情勢に即した変遷もみられるという。さらに、個人情報を引き出すだけの手口なども出現。警察当局や国民生活センターは「怪しい電話には絶対に応じないでほしい」などと注意を呼び掛けている。(宮野佳幸、吉沢智美)

接種優先順位上げる

 「新型コロナワクチン接種の予約がなかなか取れないので、予約を代行しますよ」。近畿地方の40代の男性の自宅に、1人の男が訪ねてきた。「市役所から来ました」。そう畳みかける男に、少し不審に思った男性が所属や名前を尋ねたところ、男は明確には答えず、逃げるように立ち去ったという。

 国民生活センターによると、2月に医療従事者への先行接種が始まると、こうした詐欺が疑われるような事案の相談が寄せられるようになったという。

 特に高齢者への接種が開始された4月以降は急増している。詐欺が疑われる相談はこれまで103件(17日現在)。また、専用電話に寄せられた相談だけでも47件(19日現在)に達しているといい、このうち4月以降は37件を占める。担当者は「ワクチン接種の優先順位を上げるといったものが目立つ」と話す。

予約代行が出現

 コロナ情勢の変化に伴い手口の変遷もみられる。

 多くの高齢者がネット予約に苦戦している実態が浮かびあがると、予約代行を持ちかける事案も出てきている。

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 北九州市立消費生活センターによると、「成功報酬1000円で予約代行を請け負う」などとするチラシがポストに入っていたとする相談が、これまでに2件寄せられているという。ネットに不慣れな高齢者らを狙っている可能性もあるとみられる。

 自治体職員をかたり、予約代行をちらつかせる詐欺も懸念されるが、静岡県三島市など職員らがネット予約をサポートする自治体もあり、詐欺グループとの「線引き」が難しい状況もみられる。

個人情報狙いも

 一方、直接金銭を要求しない不審な電話も確認されている。

 秋田県横手市によると5月15日、80代の女性宅に保健師を名乗る女から「ワクチン接種の予約は済んだか」「生年月日を教えてほしい」などと個人情報を引き出そうとする電話があった。

 警視庁犯罪抑止対策本部によると、東京都内でも詐欺とみられる電話は5月17日までに149件確認されており、ワクチン接種関連は20件に上るという。

 ワクチン接種に絡む不審電話での被害はないが、個人情報の引き出しなども懸念され、捜査関係者は「資産状況や個人情報を引き出し、次なる詐欺のターゲットを探っている可能性もある」などとして警戒を強めている。

 国民生活センターの担当者も状況を注視。担当者は「ワクチンは無料であり個人情報を聞き出すことはあり得ない。流出した個人情報が、別に悪用される危険性もあり、不審な電話には絶対に応じないでほしい」などとし、開設している専用電話への相談などを呼び掛けている。

接種までの流れ

 新型コロナウイルスのワクチンの接種までの流れは、まず、自治体から接種券が届くことから始まる。

 接種券が届くと、厚生労働省が開設しているホームページ「コロナワクチンナビ」にアクセス。「接種会場を探す」をクリックし、居住地の近くなどで接種を受けることができる医療機関や会場を探す。

 予約可能な医療機関や会場をクリックすると、それぞれのホームページに移ることができ、電話などで連絡して予約を入れる。実際の接種に際しては、接種券と健康保険証といった身分証明書を持っていく。

 ファイザー社のワクチンは1回目の接種から3週間後に2回目の接種を受ける必要がある。モデルナ社とアストラゼネカ社のものも2回接種で、それぞれ4週間、4〜12週間の間隔をおく必要があるという。

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