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» 2021年05月31日 07時00分 公開

国交省、太陽光パネルの適地分析システム実証実験へ 3D地図活用

国土交通省が、3D地図を活用して太陽光パネルの設置に適した場所を分析するシステムの実証実験に乗り出す。今夏にも全国の一部自治体のシステムを構築する方向で調整。2022年度以降の全国展開も視野に入れる。

[産経新聞]
産経新聞

 菅義偉政権が掲げる「2050年までの脱炭素社会の実現」に向けて全国の自治体の太陽光発電の導入を促すため、国土交通省が3次元(3D)地図を活用して太陽光パネルの設置に適した場所を分析するシステムの実証実験に乗り出すことが29日、分かった。地図上のどの屋根にパネルを設置すれば、どの程度発電量を得られるのかといった推計ができるようにする。今夏にも全国の一部自治体のシステムを構築する方向で調整。2022年度以降の全国展開も視野に入れる。

photo 東京都千代田区の3D地図データの画面。建物の用途が色分けされているほか、屋根の大きさなどが正確に表示され、太陽光発電パネル設置に適した建物かなどを判断できる

 太陽光パネルの適地を分析するシステムは、国交省が20年度に全国の56都市を対象に手がけた3Dの都市モデルを活用して作製する。この3D都市モデルは、人やモノの流れを分析したり、防災やまちづくりに役立てるためのもので、全国の自治体の都市計画の基本図や基礎調査などに基づき、建物の形状や高さといった見た目に加え、用途や材質、築年数などをもとにつくられた。

 3D都市モデルを活用することで、建物の屋根の大きさや傾き、鉄筋コンクリートか木造かなど材質も分かるため、太陽光パネルをどの建物にどのぐらいの大きさで設置できるかなどを推計できる。「結果として自治体全体の太陽光発電量も分かるようになる」(国交省の担当者)という。

 「2050年脱炭素」を掲げる中、菅首相は4月、30年度の温室効果ガス排出削減目標として13年度比46%減を目指すと表明した。30年度まで時間が限られる中では、太陽光発電などの再生エネ、省エネといった既存の対策を強化することが現実的との見方もある。30年度の実現を目指す新たな電源構成の比率をめぐって経済産業省は、再生エネについては現行目標の22〜24%から36〜38%に引き上げることを検討している。

 また、政府は今月26日に成立した改正地球温暖化対策推進法に50年の脱炭素社会実現を明記し、その達成のために再生エネを普及させる考えを強調している。

 国交省は、自治体や民間の事業者が太陽光発電を拡充するにあたって、太陽光パネルの適地分析システムの活用を促す考えだ。担当者は「自治体が脱炭素都市を実現する方法を探る一助となれば」と話している。

 3次元(3D)都市モデル 仮想空間上で、見た目だけでは分からない構造や用途などの情報も含めて3Dデータ化する技術。ドローンの運航管理地図や浸水域を明示する防災地図など、用途はさまざまで、国土交通省は民間企業など一般に開放して活用方法を模索している。米ニューヨークや独ベルリンなど各国で同様の取り組みが進められている。

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