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» 2021年06月07日 07時00分 公開

学年ごと入れ替えやライブ配信 コロナ禍「密」避け運動会

 新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、小学校で春の運動会シーズンを迎えている。コロナ禍2年目となった今年は実施に踏み切った学校も多い一方、競技や応援の仕方は様変わり。児童や保護者の「密」を避ける試行錯誤が続いている。

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、小学校で春の運動会シーズンを迎えている。コロナ禍2年目となった今年は実施に踏み切った学校も多い一方、競技や応援の仕方は様変わり。児童や保護者の「密」を避ける試行錯誤が続いている。

 汗ばむ陽気となった5月29日、東京都荒川区の第三日暮里小学校で行われた運動会。4年生による旗を用いた演技に、保護者らがカメラを向けていた。例年なら全校生徒400人超が一堂に会するが、この日校庭に集まった児童は最大約70人。学年ごとの「入れ替え制」で実施したことで、保護者同士も距離を取っての観覧が可能になった。

photo 学年ごとの「入れ替え制」で行われた運動会。感染症対策として取り入れられた旗を使ったプログラムを観覧する保護者も、一定間隔を空けてカメラを向けていた=5月29日午前10時48分、東京都荒川区の第三日暮里小学校(鬼丸明士撮影)

 同校では競技数も絞り込み、騎馬戦などの団体競技は取りやめに。道具の共用や体の接触があるプログラムは旗を使った演技で代替した。競技中はマスクを外すよう指導した一方、水分補給を促す校内放送で熱中症対策にも万全を期した。

 多くの制約下での運動会となったが、6年生の保護者は「生の学校行事は久しぶり。一大イベントで子供たちの成長を見られてうれしい」。児童らも「みんなでやったこと全てが思い出に残った」と笑顔を浮かべた。末永寿宣校長は「コロナ禍でも『心を育てる』という小学校教育の神髄を達成できた」と開催の意義を強調した。

 「いたいた! しばらく見ない間に、また大きくなって……」。福島県に住む無職、伊藤由美子さんは、都内の小学校に通う孫が「ソーラン節」を踊る姿を見つけ、スマートフォンの画面に見入った。

 5月下旬に行われたこの小学校の運動会では、保護者の観覧を禁止する代わりに動画をライブ配信した。保護者への連絡用としてPTAが使用しているアプリを活用し「定点カメラ」と「移動カメラ」で、多くの児童が映るよう工夫も施した。小学校から離れた地域に住む児童の親族らも運動会を楽しめたという。

 伊藤さんはコロナ禍で遠出を控えており、孫の姿を見るのは約1年ぶり。「子供たちの歓声も聞こえ、臨場感があった。不自由な学校生活だろうと思うが、元気な様子を見られて安心した」とほおを緩めた。

 茨城県那珂市の五台小学校でも、今年の運動会は「Zoom」で保護者に向けたオンライン中継を実施。児童のプライバシーに配慮し、閲覧に必要なパスワードは保護者へメールで案内し、第三者に開示しないよう注意を添えた。遠目から撮影することで個人が特定されないよう配慮したという。井坂敏子教頭は「接触が避けられないバトンの受け渡しや玉入れ対策として、学年ごとに色分けしたカラー軍手も『運動会らしさ』につながった」と話した。

 運動会をめぐっては、新型コロナの感染状況を踏まえ、延期や中止を決めた自治体もあるが、萩生田光一文部科学相は先月の閣議後記者会見で「直ちに中止するのではなく、工夫してやる可能性も模索してほしい」と述べ、感染対策を講じた上での開催を求めている。

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