ITmedia NEWS >
ニュース
» 2021年06月14日 07時00分 公開

Apple Watchで心臓病予防 脳梗塞前の心房細動を見つけるきっかけに

不整脈にはさまざまな種類があり、その一つに「心房細動」がある。ありふれた病気だが、放置すれば重篤な脳梗塞につながる。心房細動を発見するきっかけとして、Apple Watchが活躍する場面が増えつつあるという。

[ZAKZAK]
ZAKZAK

 不整脈にはさまざまな種類があり、その一つに「心房細動」がある。心臓の上の部屋である心房の電気信号が乱れることで、細かくけいれんしたような動きになり、脈がバラバラになるのが特徴だ。日本における患者数は100万人以上といわれ、ありふれた病気だが、放置すれば重篤な脳梗塞につながる。

 「心房細動自体は致命的な不整脈ではありませんが、合併症の脳梗塞は、しばしば命に関わります。心房内の血液がよどむことで血液のかたまりができ、脳の血管を詰めてしまうことで起こります。自覚症状がないこともあり、脳梗塞を起こしてから心房細動とわかることも少なくありません。こうした事態を予防することが課題です」

 こう話すのは、慶應義塾大学病院循環器内科の木村雄弘専任講師。不整脈専門医として心房細動の診療を専門とし、2015年にはiPhoneアプリを自ら開発して、ICTと医療を融合した新たな技術開発に尽力している。

 「Apple Watchの不規則な心拍の通知が、症状のない心房細動のきっかけを見つけてくれることが増えてきました。通知を受けたときや症状があるときに、自分でApple Watchの心電図アプリケーションで心電図を記録し、それを診察室に持参される人も多い。こうしたきっかけを活かして専門的検査を受け、心房細動と診断できれば、合併症を起こす前に治療を開始できます」

 ただし、Apple Watchの通知がないからといって、心房細動がないとはかぎらない。Apple Watchが、常にモニタリングしてくれるわけではないからだ。

 ウェアラブルデバイス(体の一部などに装着するコンピュータ)は、身につけているときに無意識にデータを収集し続けることがメリットだが、医療機器と同じではない。Apple Watchで記録できる心電図も、医療機関で記録する心電図とは記録の仕方も異なり、心房細動らしいかどうかしか判断しない。病気の診断には、医療機器による検査と医師の診断が必要になる。

 「ユーザーも医療従事者も、Apple Watchのプログラムの結果だけをもとに健康状態を判断してはいけません。しかし、正しく有効活用すれば、健康増進や未病予防につながります。ユーザーと医師の共通のリテラシー(正しい理解と活用)の構築が大切な時期だと思います」

 では、いつ心電図を記録すればいいのか。せっかく心電図を記録できるようになったのに、健康診断と同じ年に1回程度しか使わないのではもったいない。また、四六時中、心電図検査ばかりしているわけにもいかない。木村医師は、日々の生活において、効率的に心臓の病気を見つけるタイミングはいつなのか、それを解明する臨床研究をスタートさせた。

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.