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» 2021年07月05日 07時00分 公開

登山届をQRコードで提出 鳥取県・大山

中国地方の最高峰・大山で、2度目の夏山登山シーズンの幕が開けた。鳥取県警はインターネットで登山届が提出できるようQRコードを作成。安全・安心や環境に配慮した登山新時代が到来しつつある。

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルスの流行が続く中、中国地方の最高峰・大山(1729m)で、2度目の夏山登山シーズンの幕が開けた。鳥取県は「グループ登山は5人以内の少人数」と、ガイドラインに人数を明示したり、入山1人当たり500円の協力金の実証事業を開始したりと、新たな仕組みを相次いで打ち出した。鳥取県警はインターネットで登山届が提出できるようQRコードを作成。安全・安心や環境に配慮した登山新時代が到来しつつある。

鳥取県が独自ガイドライン

 「夏山について5人以内の登山をお勧めする。今までよりもうつりやすいウイルスのデルタ株(インド型変異株)なども考えられるわけで、格段の注意をお願いする」

photo 大山寺登山道近くから望む大山。今季の夏山登山では、グループ登山は5人以下、QRコードによる登山届など新たな取り組みが導入された

 同県の平井伸治知事は6月上旬の定例記者会見で、こう呼びかけた。ガイドラインは2020年、県が策定。同県緑豊かな自然課によると、「県独自の設定はあまり例がないと思う」。

 内容は、山岳医療救助機構の登山実践編を参考にした5項目22ポイント。「登山前」では、体調がよくない場合は登山を見合わせる、マスク、アルコールジェル、ティッシュなどの準備──などを規定。

 「登山・下山時」には、前後の人と適度な距離(2m以上)をとり、密な状態を避ける、前の人の呼気の影響を避けるため、斜め後方に位置をとる、声を出してのあいさつは控える(会釈でも気持ちは十分伝わる)──などと提唱している。

 この他、「休憩時」のポイントとして、避難小屋に入る前には手指消毒し屋内ではマスク、換気、飲食時には会話を控え、飲食中以外はマスク着用、タオルは共用せず各自が準備──など居酒屋などでの会食と同等の感染防止対策を打ち出している。

 県はHPに登山ガイドラインを掲載しているほか、登山口近くに要点を記した紙を掲示し、登山者に順守を呼び掛けている。大山登山者は近年6万〜7万人の間で推移。昨年度は新型コロナの影響で約4万6000人に減少した。

 ガイドラインの人数明示を受けて、登山予定者から「6人ではだめなのか」などの問い合わせが来ているといい、県は「1班を5人以内にすれば大丈夫」などと案内している。

 また、20年から5合目より下を、登りと下りのルートに分けて通行を分散し、密集を回避している。

登山道維持などに協力金500円

 協力金は、キャラボクの群落を守るため頂上付近に設置している木道の補修など登山道の維持管理や、植生を保護・復元するため、わらで編んだこもを敷く「こも伏せ」、山頂トイレの保守清掃などに充てる。協力金は登山1回につき500円、年間で複数回登る登山者ら向けに年に1回3000円とし、大山頂上避難小屋売店と麓の大山寺にある大山ナショナルパークセンター1階窓口に設置する。

 協力金は19年10月から11月にかけての10日間、社会実験として実施し、約60万円が集まった実績がある。このときは金額を定めず実施。同時に行ったアンケートには約1700人が回答した。今回の実証事業は6月4日に始まり、10月31日まで。今回の結果を踏まえ、本格導入の是非などを決めるという。

QRコードで登山届

 登山届用QRコードは、スマートフォンなどで読み込めば鳥取県警HPの「大山登山届提出フォーム」につながり、必要事項を入力し送信して提出できる。

 遭難事故が発生した場合、要救助者の装備や登山ルート、登山経験などが記載された登山届が捜索の手がかりとなるが、届の提出件数は年間約3万件で、このうち県警HPからの提出は全体の1割にとどまっている。また、過去3年の大山遭難事故で登山届が提出されていた割合は4割程度という。

 県警地域課は「QRコードを使えば簡単に提出できる。この利用が増えれば、紙の提出分とあわせ登山届全体の増加につながる」と期待している。QRコードは大山寺駐在所や大山町役場大山支所など5カ所に掲示されている。

photo 大山ナショナルパークセンターでは、登山ガイドラインの要約版が定期的に告知されている

 母親と2人で登山に訪れた島根県安来市のミニチュアフードデザイナー、中村気恵さんは「毎週大山に登っているが、駐車場に車が多く、登山者は意外に多いので、ガイドラインは安心して登るために役立つと思う。QRコードの作成で、登山届が手軽に提出できる。協力金は登山道の補修のために使われると聞いている、いいことだ」と、新たな取り組みを歓迎した。

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