ITmedia NEWS >
ニュース
» 2021年07月09日 07時00分 公開

不法残留疑い、AIで検知 入管庁、五輪で水際対策強化

出入国在留管理庁が、不法残留する疑いがあるとして入国審査を厳格にすべき「要注意人物」を検知するため、過去の残留事案に基づく傾向分析や航空機の予約情報との照合にAIを使ったシステムを今月から導入したことが分かった。AIの導入で要注意人物の高度な分析や迅速な照合を図り、不法残留の減少につなげたい考えだ。

[産経新聞]
産経新聞

 出入国在留管理庁が、不法残留する疑いがあるとして入国審査を厳格にすべき「要注意人物」を検知するため、過去の残留事案に基づく傾向分析や航空機の予約情報との照合にAIを使ったシステムを今月から導入したことが7日、同庁への取材で分かった。東京五輪の開幕に合わせた水際対策強化の一環で、AIの導入で要注意人物の高度な分析や迅速な照合を図り、不法残留の減少につなげたい考えだ。

 入管庁では従来、入管難民法などに基づき、海外を出て日本に向かう航空機の運航会社から、各機の日本到着72時間前と、出発直後に乗客予約記録の提供を受けている。搭乗予定者の国籍や渡航日程、荷物の重量など35項目に及ぶ記録を入管庁で分析し、テロへの関与や不法残留する疑いがあると判断すれば、各空港の入管支局に情報を提供。該当者が入国審査ブースを訪れた際に速やかに別室に誘導し、入国審査官が上陸を許可するか厳格に審査してきた。

photo

 また、入管庁では専用ソフトなどを駆使し、不法残留する人物に共通する特徴を類型化するなど傾向分析も実施。膨大な予約記録からパターンに当てはまる人物をピックアップし、厳格審査の対象を絞ってきた。

 ただ、最終的な予約記録の入手から入国審査まで数時間しかない場合もあり、「分析や照合にかける時間が十分でない」(担当者)のが実情だった。そこで、より高度な傾向分析や予約記録とのスピード照合を図るため、AIによる傾向分析や、分析を自動照合する「ルールエンジン」を組み合わせたシステムを7月1日から試行的に導入した。

 AIなどの活用で、担当者がマンパワーで行っていた作業の大半を自動化できるだけでなく、従来は十分に活用できていなかった予約記録の情報をくまなく分析することが可能になる。国外退去処分歴のある人物やテロリストを掲載した「ブラックリスト」との自動照合システムの更新に伴う導入で、予算は全体で約18億円。8月下旬からの本格稼働を予定している。

 入管庁の担当者は「AIを使うのは慎重審査すべき対象者を絞るまでで、最終的に入国審査官が上陸許可するか見極めることには変わりない」としている。

 入管庁によると、日本の不法残留者は2021年1月時点で8万2868人。14年(約5万9000人)以降は増加傾向が続いている。

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.