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» 2021年08月04日 07時00分 公開

米、五輪視聴伸び悩み 熱気欠く無観客 動画配信の台頭も背景に

米国でテレビ中継されている東京五輪の視聴が伸び悩んでいる。開会式の視聴者数は過去33年で最低だったほか、大会期間の序盤も2016年のリオデジャネイロ五輪に比べて半分にとどまった。不振の背景は。

[産経新聞]
産経新聞

 【ワシントン=塩原永久】米国でテレビ中継されている東京五輪の視聴が伸び悩んでいる。開会式の視聴者数は過去33年で最低だったほか、大会期間の序盤も2016年のリオデジャネイロ五輪に比べて半分にとどまった。関係者らは不振の背景に、熱気に欠く無観客での開催や、米スター選手の不在があると分析している。

photo 【東京五輪2020】開会式が行われ、花火が打ち上げられた国立競技場=7月23日夜、東京都新宿区(佐藤徳昭撮影)

 米国では夏季五輪の放映権を米メディア大手NBCUniversalが持つ。そのNBCとメディア調査会社のデータを報じた米Reutersによると、7月23日の開会式の視聴者数は1690万人と、比較可能な88年のソウル五輪以降で最も少なかった。

 また米FOX Newsによると、視聴率が稼げるプライムタイムの視聴者は、開幕から5日間で平均1520万人と、リオ五輪に比べ47%減、12年のロンドン五輪から57%減だった。

 低迷の要因について、NBCUniversalのシェルCEOは7月29日、「(新型コロナウイルス禍などの)不運が重なり悪影響が出た。大会が1年遅れ、無観客となったのが響いた」と指摘。会場の熱気が伝わるスポーツ中継の醍醐(だいご)味がそがれ、視聴者減につながったとの見方を示した。

 米国の看板選手の競技離脱も理由に挙げられる。リオ五輪で体操女子4冠に輝き、活躍が注目されたシモーン・バイルス選手が、メンタル面の理由で会期序盤の団体決勝などを棄権。体操女子は米国民の人気種目で、高視聴率を当て込んでいた米テレビ局に「追い打ちをかけた」(米紙)とされる。

 もともと米国のテレビ中継には日本と最小13時間ある時差がハードルだった。水泳など人気種目の決勝を日本時間の午前に実施して、米国のプライムタイムに合わせる工夫をしたが、視聴者数は振るわない。

 一方、スポーツ観戦する視聴者が、テレビ中継からオンラインの動画配信にシフトした可能性もある。

 米調査会社Dynataが5月、東京五輪の視聴方法を米国の1000人に聞くと、主要なテレビ視聴方法であるケーブルテレビと答えた人が首位の43%だったが、2位となった動画配信サービスも28%に達した。

 スポーツは依然、視聴者を獲得できる人気コンテンツだ。NBCを含む米メディア大手も動画配信サービスを強化しており、こうしたメディアの多様化が今後もスポーツ観戦の在り方に変化を及ぼしそうだ。

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