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» 2021年08月30日 07時00分 公開

バイト感覚の「パパ活」SNSで蔓延 身を削る少女たち

新型コロナウイルス禍で学生のアルバイト収入が落ち込む中、男性から金銭を受け取って飲食に同行したりデートしたりする「パパ活」に手を染める少女が後を絶たない。SNSなどで簡単に相手を探すことができ、短時間で高額が稼げることから安易な気持ちで始めるケースも多いようだ。少女たちの補導に力を入れる大阪府警の捜査員に同行取材した。

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルス禍で学生のアルバイト収入が落ち込む中、男性から金銭を受け取って飲食に同行したりデートしたりする「パパ活」に手を染める少女が後を絶たない。SNSなどで簡単に相手を探すことができ、短時間で高額が稼げることから安易な気持ちで始めるケースも多いようだ。少女たちの補導に力を入れる大阪府警の捜査員に同行取材した。

photo パパ活で出会った男性(右)と歩く女子生徒=大阪市中央区

 7月20日午後4時半ごろ、多くの若者が行き交う大阪市中央区の道頓堀の交差点。高校1年の女子生徒はあたりを見回し、白シャツ姿の男性を見つけると近寄った。黒いベストにチェックのスカートを合わせた女子生徒。肩上で切りそろえた黒髪を照れた様子で触る様子には、あどけなさが残る。

 2人が近くの駐車場まで移動すると、後ろからつけていた捜査員数人が女子生徒の肩に手を置いた。かざされた警察手帳に、女子生徒は一瞬驚いた表情を見せたが、すんなりと指示された車両に乗り込んだ。初めての補導ではなかった。

 捜査関係者によると、約1年前、パパ活を描いた漫画を見てバイト感覚で始めた。「原則先払いのみです!」「嫌と言ってるのに聞いてくれない場合帰らせていただきます」。SNS上で出会った男性には、こんなメッセージを送った。

 複数人とデートを重ね、うち数人は「プチ」と呼ばれる性交を伴わない性的サービスにまで及んだ。「デートだけだと安い。客も少ないし『プチ』までしないと稼げない」。稼いだ金は服などの購入にあてた。

 別の少女がSNSに投稿した料金表では、食事や買い物といったデート1時間で5000円。オプションとして、手つなぎ2000円、腕組み2500円、ハグ3000円だった。さらにプチは1万5000円が相場とされているようだ。

 府警少年課は21年1〜7月に、パパ活を行っていたとして女子生徒を含む中学3年〜高校2年の少女7人を指導し、うち性的サービスを行っていた少女は5人いた。捜査関係者は「コロナ禍でアルバイトができなくなり、パパ活に手を出す少女もいるのではないか」と分析する。

 補導を終えると、捜査員は女子生徒の母親に迎えにくるよう連絡した。「お母さんに知られるのは嫌だな」。女子生徒はうつむきながらそうつぶやき、母親と一緒に警察署を後にした。(中井芳野)

認識の甘さ、性被害相次ぐ

 一般的にパパ活は性的関係を前提にしないとされる。だが、実際はパパ活をきっかけに少女が性被害に遭う事件が相次いでいる。

 20年7月には東京都内でTwitter上でパパ活を募集していた少女に睡眠作用のある薬物を摂取させてわいせつな行為をしたとして、男が警視庁に逮捕された。警視庁は20年1月にも同様の手口で少女に乱暴したとして、別の男を逮捕している。

 背景には、パパ活に対する認識の甘さがある。大阪府警少年課が20年5〜8月、SNSを発端に性的被害を受けた少女63人の調書を分析したところ、パパ活を行った少女たちは「いざとなったらその場から逃げればいい」「決定権はこちらにある」などと思っていたという。同課幹部は「少女が事前にデートまでと決めていても、実際に男性に会い性的関係を強要されると、力ではかなわず応じざるを得ない」と指摘する。

 こうした事態を受け、各地の警察はTwitter上で児童売春につながりかねない投稿に対し、ダイレクトメッセージなどで注意喚起を行う取り組みを実施。府警は「見ず知らずの相手と会うことは、誘拐や殺人などの重大事件に巻き込まれる恐れのある大変危険な行為だ」と注意を呼び掛けている。(中井芳野、木下未希)

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