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» 2021年09月02日 07時00分 公開

九州初の自動運転バス運行順調 福岡県みやま市

福岡県みやま市は、九州で初めてとなる自動運転サービスによるコミュニティーバスの運行を山川地区で始めた。ゴルフカート型の6人乗り電気自動車が、道路に埋設した電磁誘導線からの磁力を感知して自動走行する仕組みで、全国では3番目の導入。7月19日の運行開始以来、これまでのところ大きなトラブルもなく、順調な運行が続いている。

[産経新聞]
産経新聞

 福岡県みやま市は、九州で初めてとなる自動運転サービスによるコミュニティーバスの運行を山川地区で始めた。ゴルフカート型の6人乗り電気自動車が、道路に埋設した電磁誘導線からの磁力を感知して自動走行する仕組みで、全国では3番目の導入。7月19日の運行開始以来、これまでのところ大きなトラブルもなく、順調な運行が続いている。

photo 福岡県みやま市が運行を始めた自動運転バス

高齢化社会に備え

 みやま市は2007年に瀬高、高田、山川の3町が合併して誕生したが、中山間地の人口減少と高齢化が大きな悩み。中でも「みかんの里」として知られる山川地区の人口4243人に占める高齢化率は42.5%と同市の平均38.2%を上回る(4月現在)。今後、車の運転ができない住民が増え、タクシーなどの運転手不足も懸念されている。

 そこで同市は将来の中山間地の交通手段を確保し地域活性化を図ろうと、国土交通省などの「戦略的イノベーション創造プログラム」を活用。県とも連携し17年度から2年にわたって、自動運転サービスの実証実験をしてきた。

 今回始まった自動運転サービスは、実証実験の結果を踏まえ、旧山川町を南北に貫く国道443号の往復7.2kmの区間に設定された。市バイオマスセンター「ルフラン」に新たに停留所を設けて出発点とし、新設した「Aコープ山川店前」から折り返す。この区間は、商店や住宅が軒を連ね、山川市民センターや市山川支所があり、停留所も7カ所設けられている。

 「ルフラン」は16年度に廃校になった山川南部小学校跡に、旧校舎を利用して設けられた地域活動の拠点だ。地元住民が交代で営業するカフェや食品加工室、研修室などがある。敷地内には、し尿や生ごみを発酵させて発電もするバイオマスセンターがあり、自動運転の車両はここで、搭載したバッテリーに充電し走行している。

ゴルフカート型

 バスは6人乗りだが、新型コロナ感染症対策もあって現在は乗客は4人に限定。時速12kmのゆっくりしたスピードで、往復約1時間をかけて運行している。ヤマハ発動機製でゴルフカート型。ドアはなく、乗客はベルトを使って安全を確保、屋根がついており、雨天時に車両の左右にシートが掛けられる仕組みになっている。車両前部のセンサーが道路に埋め込まれた電磁誘導線からの磁力を感知。停車、スピードの調整、障害物の検知をしながら自動運転する。

photo 国道を走行中の自動運転バス

 ただ、現在は運行を委託された地元タクシーの運転手が、ハンドルを握らない状態で乗車しており、緊急時には手動に切り替えて運転する。通常は1日5往復。夏季(7〜9月)は3往復で、日祝日を除く平日のみ運行。車両は市民約150人の応募の中から「オレンジ・スター号」と命名された。運行にかかる同市の諸経費は半年で約500万円。車両はヤマハ発動機からの無償貸与という。

 料金は一般100円。65歳以上や障害者、小学生は50円。支払いは現金のほか、九州電力が提供するスマホアプリ「みやまスマイルペイアプリ」など五つの方法がある。

 みやま市がまとめた7月19日の運行開始から1カ月の実績によると、乗客数は新型コロナ感染拡大や豪雨の影響もあって、当初目標の1日10人の4割程度で、営業日数は21日だった。担当者は「予想以上に市外からの乗客も多かった。今後は買い物などで、地域住民にもっと利用してもらうよう呼び掛け、中山間地の移動手段を確保していきたい」としている。

 自動運転車両は、交差点の信号は感知できず、後方から迫る一般車両に道を譲るため道路脇に退避する際には人力に頼らざるを得ないなどの問題点もあり、運営コストの削減とともに今後の検討課題となりそうだ。こうした課題を解決したうえで、同市は将来的には完全な無人運転を目指す方向だ。(永尾和夫)

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