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» 2021年10月19日 10時00分 公開

銀行手続きがビデオチャットで 伊予銀行がアプリ開発

銀行のさまざまな手続きをビデオチャット越しにできるアプリケーションを全国で初めて伊予銀行が開発した。アプリを利用すると、客は店舗窓口を訪れているのと同じように、行員の説明を聞きながら選択肢を選んで手続きを進められる。

[産経新聞]
産経新聞

 スマートフォンのビデオチャット機能を使い、銀行のさまざまな手続きをできるアプリケーション「AGENT」を全国で初めて伊予銀行が開発、取り扱いを本格化させている。アプリを利用すると、客は店舗窓口を訪れているのと同じように、行員の説明を聞きながら選択肢を選んで手続きを進めることができる。スマホの普及と、コロナ禍による非対面型チャネルのニーズが高まっており、注目されそうだが、開発の背景には地方銀行が抱える人口減少と来店者数の減少がある。

photo スマートフォンアプリ「AGENT」で銀行口座を開設するデモンストレーション=松山市の伊予銀行本店

 同行は東京都港区の「アクセンチュア」とAGENTを共同開発し、2019年2月から、タブレットを店頭や渉外活動で使用してきた。今回導入したアプリはビデオチャット機能が特徴で、客はスマホを使い自宅などにいながら窓口と同じ体験をすることができる。6月末にiPhone版で取り扱いを開始した。

 普通預金新規口座開設▽氏名や住所、電話番号などの諸届▽キャッシュカード発行――の3機能で開始し、9月に定期性預金口座開設・預け入れ・解約や、残高照会、入出金明細照会、引き落とし予定明細照会、入出金プッシュ通知の機能を追加した。

 アカウント登録は顔認証の他、免許証やマイナンバーカードを写すことでICチップからデータを読み取り、本人確認を厳格に行う。入力はビデオチャットで行員が代替し、客は気楽に質問できたり、不明点の説明を聞くことができる。同行総合企画部の石川秀典課長は「店頭での受け付けをロケーションフリーで、手のひらでできるようにしました。『こんな銀行見たことがない』というバンキングアプリです」と話す。ビデオチャットを用いる方法は全国初で、特許出願中という。今後も機能を追加してゆく予定で、21年12月にはAndroid版の取り扱いを始める計画。

 同行によると、アプリ開発の背景には人口減少と来店数の減少という地方銀行に共通の課題がある。石川課長は「金融機関はメガ銀行、地銀、第2地銀、信金、信組などがあり、以前から店舗を持っている。ネットバンキングも出てきて成長してきた」としたうえで、人口減少時代を迎え、来店者数の減少に対応する必要性があると説明する。

 生産性向上のため、全国で銀行店舗の統廃合が進んでいるなか、同行でも21年4店舗を近隣支店の店舗内店舗とするなど、店舗再編で対応している。16年3月に151店舗だったのが21年9月では132店舗に。さらに22年4月には130店舗に減少する計画を立てている。

 一方、流通用語で「ラガード」と呼ばれる高齢者を含め流行や先端技術を取り入れるのが「最も遅い」層が地方には比較的多いことに配慮したのだという。「ビデオチャットを用いて人がかかわることの安心感をもってもらえる」と石川課長は話す。

 ネットバンキング機能にビデオチャットという「非対面有人」の機能を加えることで、急激なデジタル化、ネット化に拒絶反応をする一定層に対しても、金融インフラを提供するという地方銀行の責務を果たすことができると説明している。

 「通帳なし、印鑑なしの口座も準備中です。これから本格稼働し、今後は相談業務を含め、お客さまと双方向でつながるアプリを目指します」と石川課長。ビデオチャットの要員は現在は8人。今後は行員の適正を判断しながら人員配置するとしている。(村上栄一)

photo 「AGENT」について説明する伊予銀行総合企画部の石川秀典課長(左)

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