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» 2021年11月11日 07時00分 公開

中国EC恒例の「独身の日」大規模セール、習政権のIT統制で変化

中国では「独身の日」と呼ばれる11月11日に、EC各社による毎年恒例の値引きセールが行われる。最大手Alibaba Groupの取引額は2020年8兆円規模だったが、習近平政権が同社への圧力を強めているため21年は最も低調になるとの見方もある。

[産経新聞]
産経新聞

 【北京=三塚聖平】中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日に、インターネット通販各社による毎年恒例の値引きセールが行われる。最大手のAlibaba Groupの取引額は2020年8兆円規模だったが、21年は「最も低調」(ロイター通信)になると指摘される。習近平政権がAlibabaへの圧力を強めているためで、同社も「公益」など政権の方向性に沿ったメッセージを発し、例年とは異なる商戦になる。

photo 中国で「独身の日」に合わせて行われる毎年恒例の値引きセールを知らせるAlibaba Groupの看板=9日、北京(三塚聖平撮影)

 Alibaba幹部は10月下旬のオンライン会見で「取引額中心から、持続可能な発展の指標へと焦点を移している」と強調した。従来は取引額の上昇をアピールしており、20年もセール期間中の累計取引額が4982億元(約8兆8千億円)だったと誇った。21年は最終的な累計取引額を発表しない可能性すら指摘される。

 変化の背景には、IT業界への統制強化の動きがある。習政権は社会への影響力が大きくなった国内IT大手を警戒し、特にAlibabaへの風当たりを増した。中国当局は4月、独占禁止法違反で過去最大の182億元超の罰金を科す決定を出している。

 同社は現在、習政権の政策に積極姿勢を見せる。社会全体を豊かにするために大企業に寄付などを求める「共同富裕」が今夏に注目されると、同社は促進事業として2025年までに1000億元を拠出すると発表。習政権が温暖化対策を重視する中、21年のセールでは環境負荷の小さいグリーン家電などを強調する。

 中国では独身を意味する数字の「1」が4つ並ぶ11月11日を「独身の日」と呼び、09年にAlibabaがセールを開始。当初は「独身者が自分にプレゼントを贈る」とされたが、競合他社も追随して独身者にとどまらないセールになった。

 Alibabaは、一大消費イベントとして盛り上げて利用者を拡大。10月の国慶節(建国記念日)や、1〜2月の春節(旧正月)と並ぶ商戦期となった。膨大な利用者によりメーカーに対する力を増し、大々的な値引きを実現させて消費者を引き付けた。この日のセールで生活必需品をまとめ買いする中国人も多い。Alibaba傘下には電子決済サービス「Alipay」があり、膨大なユーザーは自社のサービスで抱え込んでいる。

 一方、Alibabaは自社サイトで商品を販売する業者に、競合他社に出店しないよう迫る「二者択一」と呼ばれる行為を行っていたことも問題視されている。

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