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» 2021年11月15日 07時00分 公開

住友商事 海外取引先との商談もオンラインが基本、オフィスへの出社率も約3割に減少

2019年に創立100年を迎えた住友商事は、18年の東京都千代田区への本社移転を機に新しい働き方を推進。テレワーク制度を導入しテレワークを実施。海外出張はオンライン中心になった。。

[ZAKZAK]
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 新型コロナウイルス感染拡大は企業活動、とりわけ海外出張に大きな影響をもたらした。今でも海外出張は原則中止で、現地支社との打ち合わせや取引先との商談はオンラインにシフト、コロナ後もその体制は変わらないとする企業は多い。

 2019年に創立100年を迎えた住友商事。18年の東京都千代田区への本社移転を機に新しい働き方を推進。テレワーク制度を導入し、全社員を対象に在宅、サテライトオフィス、モバイルワークを実施。スーパーフレックス制度ではコアタイムを廃止し、柔軟に働く時間を選択できるようにした。

 海外出張は20年2月から、外務省の感染危険情報のレベル3以上の国は禁止とし、2以下は人材・総務・法務担当役員、海外総支配人・総代表の許可を得たうえで認めている。

 同社にとって、鉄道事業は数々の事業の中でも長い歴史を持つ。1940年代から国内メーカーが造った列車の車輪や車軸を輸出してきた。80年代に入りフィリピンやインドネシア、タイなど東南アジア諸国、米国に鉄道車両や車両・運行システムを輸出。現地に社員を派遣し、納入国運輸省はじめメーカーやエンジニアリング会社とプロジェクトを進めてきたが、20年からは出張の機会がなくなった。

photo 交通・輸送インフラ事業部フィリピン課長の吉田靖一さん

 「輸出案件の契約交渉は、テーブルを挟んで顔を合わせて行うもの。それが突然、Web会議に変わった」と話すのは、19年からフィリピンの鉄道インフラ整備事業の成約に携わってきた交通・輸送インフラ事業部フィリピン課長の吉田靖一さん。

 フィリピンのマニラ首都圏では急激な経済成長で人口増加が続き、人口集中による交通渋滞が問題化している。吉田さんは、都市旅客鉄道の車両や信号など設備一式の改修、メンテナンス事業や通勤鉄道向けの車両の納入案件の他、鉄道運行会社への出資契約交渉を進めてきた。

 企画案、提案書を作成し、東京-マニラ間を往復して協議を重ねて約半年、「これからが山場」という時だった。不安もあったが、「この体制でやるしかないと思った」という。

 Web会議は一気に加速した。オンラインとリアルとは同じではないが、オンラインなりに試行錯誤しながら交渉を進めた。契約は成立し、出資後の投資先や他株主との協議は現在もオンラインが基本だ。

 オフィスの出社率は約3割。吉田さんは自宅でマニラとのWeb会議に参加することもある。数年前は仕事を終え羽田空港に向かい、夜行便でマニラに出張していた。「海外出張がなくなった分、自分を磨く時間としたい」。仕事の合間、小学3年生の次男からの遊びの誘いが唯一の息抜きになっている。

 インフラ事業について、「インフラを造ることが目的ではなく、納入国がどう活用していくかについて注力したい。時代は変わっていく。何が有効活用できるのか、よく見極めて技術を送り込んでいきたい」と話す。 (危機管理・広報コンサルタント 山本ヒロ子)

photo マニラ都市鉄道駅構内の様子

 ■山本ヒロ子(やまもと・ひろこ) 早大卒。40年以上にわたり、企業や自治体、大学の危機管理と広報活動について取材。コンサルティング活動も行ってきた。取材件数は延べ2000社以上に上る。経営情報学修士(MBA)。

 ■吉田靖一(よしだ・せいいち) 2004年東大卒、住友商事入社。情報通信事業部に配属。その後、中東やアジアなど海外へのインフラ輸出案件(工事・投資)に取り組む。14年インドネシアの電力EPC(設計・調達・建設)担当として、5年間のジャカルタ駐在を含め、東京−ジャカルタ間往復の生活を約10年間送る。現在、フィリピンの鉄道案件に従事。41歳。

 ■住友商事 1919年設立。世界66カ国・地域、135拠点と連携して事業展開。世界の発展をけん引するグローバルカンパニーとして、米フォーチュン誌「Fortune Global 500」に27年間連続で選出。連結従業員数7万4920人。収益4兆6451億円(2021年3月期実績)。代表取締役社長執行役員CEO/兵頭誠之。

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