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» 2021年11月25日 07時00分 公開

新しい手口は“キラキラSNS” コロナ禍で姿変えたマルチ商法 第三者の紹介が疑うポイント

マルチ商法を巡る被害が後を絶たない。セミナーに人を集めて勧誘するのが従来の手口だったが、コロナ禍で舞台はInstagramなどSNS上に移ったという。その特徴は“ポジティブ”で“キラキラ”した投稿にあるようだ。

[ZAKZAK]
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 連鎖販売取引(マルチ商法)を巡る被害が後を絶たない。セミナーに人を集めて勧誘するのが従来の手口だったが、コロナ禍で舞台はInstagramなどSNS上に移ったという。その特徴は“ポジティブ”で“キラキラ”した投稿にあるようだ。

 東京都に住む20代男性が高校時代の同級生に異変を感じたのは、Instagram上の投稿だった。「2年ほど前から筋トレに励み、筋肉量の変化などを投稿するようになった。それ自体はいいことだが、投稿にはSNS経由で知り合ったとみられる“筋トレアカウント”が何人も登場し、そのどれもが共通のサプリに関連するアカウントをフォローしていた」と男性。他にも「友人の高級車に乗せてもらった様子を投稿したり、『仲間』とか『感謝』という言葉を多用するようになった。本人は楽しそうだが、人が変わってしまったと感じる」と続ける。

 2020年、男性はこの同級生から「紹介したい人がいる」と連絡を受けた。「待ち合わせた喫茶店に現れたのは40代くらいの男性で、尊敬しているビジネスマンだという。『仕事もプライベートも受け身になってないか』など自己啓発的な話題に終始し、面を食らってしまった」と振り返る。商品やビジネスの勧誘を受けることはなかったが、同級生とは距離を置くようになった。

 国民生活センターによると、2018〜20年にかけての「マルチ取引」を巡る相談件数は、年間約1万1000件前後で推移している。

 悪質商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏は「これまではセミナーに誘って商品を紹介する流れが定番だったが、コロナ禍でセミナーが開けなくなり、SNS上で筋トレや美容について発信したり、コミュニティーで楽しい時間を共有しているようにアピールすることで関心を引く手口が増えてきている」と指摘する。

 前向きで楽しいことはもちろん悪いことではないが、勧誘との見分け方はあるのか。「マルチ商法グループの場合、気が合わないと感じる人が誰1人いないことが特徴だ。リーダー役が先導して思想を統一することでポジティブで楽しい空気を醸成するため、参加者の個性が見えにくい。マッチングアプリであれば、デートのはずが第三者を紹介しようとしてきたら不自然だと疑うポイントになる」と多田氏。

 知人がマルチ商法に関わっていた場合、何ができるのか。多田氏は「本人を説得することは難しいので、まずは知人や家族に伝えることだ。勧誘は身内から始まるので、身内が消極的なら早い段階で限界を感じるようになる。本人が行き詰まったタイミングで声をかけてみるといいだろう」と助言した。

 居心地が良すぎる空間には要注意ということか。

 

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