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» 2022年01月06日 07時00分 公開

政府、海底ケーブル拠点を分散 安保・災害リスク低減へ

政府が海底ケーブルの陸揚げ拠点の分散に2022年度から本格的に乗り出す。経済安全保障上のリスクや地震をはじめとする大規模災害への強靱性を高めるため地方への分散を支援すると同時に、「デジタル田園都市国家構想」の実現に取り組む狙いもある。

[産経新聞]
産経新聞

 政府がインターネットなどの国際通信の重要インフラである海底ケーブルの陸揚げ拠点の分散に2022年度から本格的に乗り出す。海底ケーブルは主に太平洋側に敷設され、陸揚げ拠点も東京圏などの一部地域に集中。経済安全保障上のリスクや地震をはじめとする大規模災害への強靱性を高めるため地方への分散を支援すると同時に、デジタル技術の活用で都市と地方の格差を解消する「デジタル田園都市国家構想」の実現に取り組む狙いもある。

 海底ケーブルと陸上ネットワークの中継地点である陸揚げ拠点(陸揚げ局)は現在、大半が北茨城(茨城県)▽南房総(千葉県)▽志摩(三重県)――に集中する。日本と米国、アジアなどを結ぶ海底ケーブルがあるためで、東京圏で全体の5割以上を占めるという。

 このため政府は陸揚げ拠点を他の地域に分散し、経済安保を強化する考え。海底ケーブルの特定地域への集中はテロや敵対勢力による切断・破壊の危険があるためだ。13年にはエジプト沖でケーブルが切断される事件が起きた。政府関係者は「事故か故意かは分からないが、中国の船が日本周辺のケーブルを切断する事例もある」と話す。

 南房総や志摩などは首都直下地震や南海トラフ地震も想定される。地震でケーブルが断線すればネットの遮断や障害が発生する恐れがある。11年の東日本大震災でも茨城沖のケーブルが断線し、通信速度が遅くなる被害が出たという。

 岸田文雄首相は21年11月中旬にケーブル分散を指示し、21年度補正予算に約500億円の基金創設を盛り込んだ。事業者らに太平洋側以外へのケーブル敷設や東京圏以外の陸揚げ拠点の設置を支援する。22年度から公募を始める。

 政府はデジタル田園都市国家構想で「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」として3年程度で日本を一周する海底ケーブルを完成させ、データセンターを地方に5年程度で十数カ所整備するとしている。基金では日本海側を周回するケーブルや、サーバなどを置くデータセンター設置も支援し、地方活性化につなげたい考えだ。

 海底ケーブルを巡っては、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて途上国への敷設を後押しし、中国企業がシェア拡大を狙う。ただ、データが中国政府に筒抜けになる懸念があり、米国や日本、オーストラリアが協力して南太平洋島嶼(とうしょ)国などの敷設の支援に乗り出している。

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