通信アプリ「LINE」を運営するLINEヤフーは6月18日、東京都内で定時株主総会を開いた。利用者などの情報が大量流出した問題について、株主からは出沢剛社長ら経営陣の進退を問う声も出るなど、厳しい意見が相次いだ。出沢氏は株主に謝罪した上で「全社一丸となってセキュリティ強化を行う」と、再発防止へ全力を注ぐことを強調した。
出沢氏は情報流出問題への対応として、システムの構築などさまざまな面で依存していた韓国IT大手NAVERへの委託関係を終了させることをあらためて表明。セキュリティやガバナンス(企業統治)強化へ向けた議論を行う社長直轄の委員会を設置したことなども説明した。
一方、株主からは厳しい声が飛んだ。「(社長直轄の)委員会などでは具体的に誰がいつまでに何をするのか明確になっていない」との意見に出沢氏は「どういったセキュリティ施策を打つかは毎日議論し適宜意思決定している」と応じた。
情報流出を受けての株価の低迷を指摘する声も相次いだ。ある株主からは「経営成果や株価に対する責任を取る時期ではないか」と、経営陣の進退に踏み込んだ発言も出た。出沢氏は「難しい局面だが、しっかりとやり切ることが責務だととらえている」と述べ、経営陣の退任は否定した。
情報流出は2023年、LINEヤフーと一部のシステムを共通化していたNAVER傘下企業がサイバー攻撃を受けたことで発生。総務省はLINEヤフーがNAVERから一定の資本支配を受ける関係を含めた経営体制の見直しを求め、4月までに2度の行政指導を行った。
これを受け大株主のソフトバンクが、NAVERとともに50%ずつ保有するLINEヤフー中間持ち株会社の株式を買い増す方向で議論が続けられているが、交渉は難航しているとみられる。総会でも、議論の状況などについて出沢氏からの具体的な発言はなかった。(根本和哉)
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
Special
PR