「ドラゴンクエスト」シリーズで知られるゲームデザイナーの堀井雄二さんが原作を手掛け、1984年にPC向けに発売されたゲーム「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」がリメイクされ、9月12日に発売される。
堀井さんは産経新聞の単独インタビューで、リメイク版の魅力を語り、“黎明期”のゲーム作りを振り返った。「オホーツク」は、主人公の行動を選ぶことで進める「アドベンチャーゲーム」というジャンル。堀井さんはAIを活用し、音声による会話で操作する新世代のアドベンチャーゲームの制作に意欲を示した。
ーー「オホーツク」は、約40年ぶりのリメイクになります。今回の話を最初に聞いたとき、どのように感じましたか
堀井さん:びっくりしました。思い入れのあるゲームですからありがたい、うれしいという感じでしたね
ーー原作者としてリメイク版にはどのように携わったのですか
堀井さん:(開発者に)アドバイスしましたが、そんなに口を出していないです。絵もすごくきれいになりましたね。昔の思い出は美しいですが、実際に当時のゲームの画像を見ると……。でもリメイク版では、思い出の美しさが現実になったような気がしました。また、今回副題として加えられた「追憶の流氷・涙のニポポ人形」」というのは、幾つか候補をいただいて、僕が決めました
ーーゲーム内で事件が起きるのは昭和の北海道ですがリメイク版では令和を舞台に、後日談となる新シナリオが追加されました。開発したジー・モード側からの要請を受けて監修したということでしょうか
堀井さん:「追加したい」と言うので「いいんじゃない」ということで。登場人物のイメージを損なわないように、とお願いしました。追加シナリオは、リメイクされた本編とスムーズにつながる内容で、案外ボリュームもあります。だから、昔遊んだ人は懐かしいし、やっていない人も結構楽しめると思います
ーー1984年に発売された「オホーツク」の開発当時は、「ロケハンでカニを食べられるから北海道が舞台になった」という伝説がありますね
堀井さん:実際は「カニありき」ではなく、まずは北海道を舞台にしたゲームの構想がありました。ゲームを作るためにロケハンするというのが画期的だった時代でしたが、道東でロケハンするとともに、(PCゲーム誌「ログイン」で)記事にしようということになり、「おもしろそうだね、やろう」という話になったんです
「旅行サスペンス」ですので、北海道内をいろいろ行けて、そこで事件が起きる、というのが楽しいと思います。ゲームやった後に網走刑務所とか聖地に行くと「あ、ここか」という楽しみ方もありますよ
ーー堀井さんにとって、「オホーツク」というゲームはどんな存在ですか
堀井さん:このとき初めて分業したんですよね。(その前に手掛けた)「ポートピア連続殺人事件」では自分でシナリオを作って、絵を描いて、プログラムもした。でもこのとき、さすがに1人ではできないと思って。絵やプログラムは他の人にやってもらいました
その後、ゲーム作りは多くの人が長い時間をかけて行うことが主流になった。ロケハンもそうだが、堀井さんにとって「オホーツク」は、そうした本格的なゲーム制作の第一歩になったようだ。
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