中古スマートフォン市場が拡大を続け、国内スマホ販売の1割を占める規模に成長している。長期化する円安を背景に新品の端末価格が上昇傾向にあることやスマホを複数台使い分ける人が増えていることから、低価格な数年前の端末が人気を集めている。今後もフリマアプリを通じた売買の増加などにより、取引が活況となる見通しだ。
MM総研の調査では2023年度の中古スマホの販売台数は272万8千台と、5年連続で過去最高を更新し、国内スマホ販売の9.7%を占めた。28年度には438万台と14.3%に達する見込みだ。
現在はiPhone 8や廉価版のiPhone SEなどが人気で、小型で軽量であることや最新機種では削除された指紋認証でのロック解除機能を搭載していることなどが評価されているという。
中古市場活況の背景には、円安による新品端末の価格上昇がある。例えばiPhoneの米国での発売時の最低価格はiPhone 12以降799ドルで一定だが、日本ではiPhone 12が8万5500円であるのに対し、今月発売されたiPhone 16は12万4800円で4万円近く上昇した。
また、23年12月に携帯端末の割引上限を原則4万円(税抜き)とする規制が適用されたことで、端末を大幅に値引きする「1円スマホ」が姿を消し、実質の負担額も上昇している。
連絡先のすみ分けや動画視聴、配信といった目的に特化した「サブ端末」の需要が高まっていることも理由の一つだ。中古スマホの販売を手掛けるBelongによると、中古スマホをメインで使う人は約1割にとどまる一方、サブ端末としては約3割を中古が占めている。
スマホは市場に登場してから10年以上が経過し、開発技術が成熟しつつある。生成AIを搭載したAIスマホもまだ広く浸透するには至っていない。そのため、数年前に発売された端末でも、サブ端末としては十分な性能を備えている場合が多いというわけだ。
インターネット上で取引が気軽に行えるフリマアプリの普及も中古スマホ人気を後押しする。MM総研の横田英明副所長は「中古スマホ市場が伸びる環境が整ってきており、自分に合った端末を自由に選択する時代に入った」と指摘する。(飛松馨)
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