番号の枯渇が懸念される携帯電話に「060」から始まる番号が利用されることとなった。ただ、実際の利用者が使えるようになるのは数年先の見込み。携帯大手各社は、自分の好きな番号を指定できるサービスを提供しているが、「ぞろ目」は申し込みできないようにしている。切りのいい番号を手に入れて転売しようとすると、思わぬトラブルに巻き込まれる危険もあるため、注意が必要だ。
総務省は10月2日、情報通信行政・郵政行政審議会に番号開放を諮問した。早ければ12月中に利用が可能になる見込み。
ただ、利用者が実際に「060」番を使えるのは数年先になるとみられる。各社への番号の割り当て手続きやシステム改修に時間がかかるからだ。
新しい番号は、携帯大手各社が需要予測などを基に総務省に必要な回線数を要望して割り当てられる。市場調査に一定期間がかかる上、各社は電話がつながるようにお互いのシステムに番号を登録するなどの設備改修が必要になる。NTTドコモによると「070」で始まる番号が2013年に開放された際には、実際の利用者に提供されるようになるまで約2年間かかったという。
大手各社は下4桁を指定できるサービスを提供している。ソフトバンクは新規契約を店頭で手続きする時に、下4桁を選べる。楽天モバイルは、店頭、オンラインを問わず、新規契約の際に1100円の追加料金で下4桁を指定できる。ドコモやKDDIも、好きな番号を選べる有料サービスを用意している。ただ、各社とも、いたずらや転売対策を理由に、「7777」などのぞろ目の番号は選択できないようにしている。
一方、インターネット上では、特定の数字が繰り返すなど、切りのいい番号を「良番」として売買する事業者もいる。携帯電話不正利用防止法では、番号などを他人に譲渡する場合は携帯会社の承諾が必要と定められており、名義変更には本人確認などの厳格な手続きが必要となる。
特殊詐欺などで悪用しようと、携帯電話の転売を持ちかける犯罪集団もあるため、偶然手に入れた番号が「良番」だからといって、「高値で売れるかも」と軽い気持ちで転売しようとすれば、思わぬトラブルに巻き込まれかねない。
固定電話では、大阪府や兵庫県の一部の地域の市外局番として「06」番が割り当てられている。だが、固定電話では「06」の次の3桁目に「0」が使われていないため、060の番号を入力途中に、これらの地域につながってしまうという心配はないという。総務省は「大阪への間違い電話が急増するとは想定していない」としている。
現在は「090」「080」「070」が使われており、番号の数は2億7000万件。9月末時点で利用が可能な番号は残り約530万件となっている。「060」の開放で9000万件が加わり、計3億6000万件に増える。(高木克聡)
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