これから自分のキャリアはどうなっていくのだろうか、これまで培った知識や経験を生かしていけるのだろうか――変化が激しく先行きが不透明な時代を迎え、将来に不安を抱えているビジネスパーソンは多いだろう。
特に今は、生成AIが台頭したように技術の進化が目まぐるしい。生成AIの活用は業務を効率化したり成果を最大化したりする上で大きな助けとなるが、自分の力だけでは知識やスキルを体系的に習得して実務に生かすのは困難だ。
「生成AIによって、専門的な知識がなくても精度の高い回答を得られるようになりました。しかし、高度なAIが普及しつつある一方、こうした新しい技術を仕事で『使いこなせる人』と『使いこなせない人』の間で知識やスキルのギャップが生まれて差が広がりつつあるとも感じます」と語るのは通信制大学のサイバー大学で教える藤澤弘美子氏(IT総合学部 准教授)だ。最新技術を活用できるか否かで生み出す成果に大きな違いが生じ、ビジネスパーソンとしての可能性をも大きく左右する。
「使いこなせる人」になるには、今の環境で勉強して資格を取る、異動や転職など新しい環境で経験を積むなど、幾つかの方法が考えられる。今回提案したいのは、リカレント(学び直し)で「大学に進学する」という方法だ。
社会人の学び直しを積極的に受け入れる大学は多数あるが、中でもお薦めしたいのが在学生の約半数を社会人が占めるサイバー大学だ。
2007年4月に開学したサイバー大学は、ITとビジネス両分野の学びを通して「ビジネスのわかるITエンジニア」「ITのわかるビジネスパーソン」というバランスの取れた人材の育成を目指している。どのような分野を学ぶのか、学ぶテーマの組み合わせ方は自由だ。現在の仕事や将来の目標に応じてメインテーマとサブテーマを選び、知識やスキルを習得できる。
ITの領域は、STEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics)教育の考えの下、AIや情報セキュリティ、ネットワークなど幅広い製品やサービスの根幹となる技術を理解して活用することを目指す。ビジネス領域は業務改善に加えて新サービスの開発、ビジネスモデルの創出など急速に変わる環境の中で課題を抽出し、ITを生かして解決に導く知識やスキルを習得する。サイバー大学はITとビジネスに関する実践的な学びを提供して、学生のスキルアップやキャリアアップをサポートしている。
独自に開発したeラーニングプラットフォーム「Cloud Campus(クラウドキャンパス)」によって、オンデマンド配信される授業は24時間いつでも受講できる。学生は都合が良い時間にPCやスマートフォンで授業を受講可能だ。授業内容の質問はその場でCloud Campusの「掲示板(Q&A)」機能やメールを通じて投稿することで、教員やティーチングアシスタントからのフィードバックを得られる。ラーニングアドバイザーによる履修相談や教員とのオフィスアワーなどもそろい、全てオンラインでありながらもきめ細かなサポートが充実している。
2024年4月に始まったマイクロクレデンシャル制のカリキュラムも大きな特長だ。これは従来の学士号や修士号という学修成果証明に加えてより細分化された学修分野ごとの成果を証明する仕組みで、国内外で検討や導入が進んでいる。履修内容は分野とレベルでグループ化され、グループ内の全科目に合格すればマイクロクレデンシャルを取得できる。証明は「オープンバッジ」というデジタル証明書が発行され、各分野の難易度に応じて「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の4種類にレベル分けされている。これによって学歴の証明だけでなく在学中から卒業まで、自身のスキルや学修歴を対外的に分かりやすく証明できる。
サイバー大学は近年、データサイエンスやAIの領域に注力している。開講中の「AIアルゴリズム」は、AIの基本となる探索や推論による問題解決アルゴリズムから実用化されている機械学習の代表的な手法まで、AIの理論とアルゴリズムを体系的に学べる。「データサイエンス応用」は、統計解析や機械学習などのデータサイエンスやAIに関わる高度な知識を、ビジネスや社会における課題解決サイクルの一部として理解し、統計解析フリーソフトウェア「R」を用いた実践的なスキルとして身に付けられる。
「授業ではオープンデータを活用して実際の課題を想定しながら、これを解決する知識とスキルを習得します。高度な分析手法を学ぶだけでなく自分の手を実際に動かした経験によって、現在の業務に限らず今後のキャリアを考える上で選択肢が広がり、新しい挑戦へ踏み出す力になります」(藤澤氏)
サイバー大学のデータサイエンス教育はこれだけではない。必修科目の「データサイエンス入門」をはじめカリキュラム全体で授業の質もお墨付きだ。「AIリテラシーレベル」「AI応用基礎レベル」は、一定の要件を満たした優れた教育プログラムとして文部科学省から「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」の認定を受けている。2024年8月には「AIリテラシーレベル」の教育プログラムが、全国の認定プログラムの中から特に優れたプログラムと評価され、「リテラシーレベル プラス」に選定。「リテラシーレベル プラス」として選定された私立大学は全国で8校のみで、サイバー大学は通信制大学として初の選定だ。数理、データサイエンス、AI分野における基礎的な知識や素養から実践的な応用力まで体系的に習得できるプログラムとして、その質が保証されていることを意味する。
2025年4月には、生成AI活用の教育プログラムを開講する。ビジネスでの実践的な生成AI活用に焦点を当て、「生成AI概論」「業務効率化のためのデジタルツール活用」「生成AIによるビジネススキル演習」「生成AIメディア・クリエーション演習」の4科目で構成する。生成AIの基本からプロンプトエンジニアリング、倫理までカバーし、ビジネスに応用できる力を養う。
「生成AIをはじめ高度なAIを既に活用して、業務の効率化やサービスの質を向上させている会社は増えつつあります。しかし、AIは、私たちが知らないどこかで誰かが願いを全てかなえるものではありません。生成AIの特性や仕組み、得意なことをきちんと理解し、さらに活用していくという意識を持つことが重要です」(藤澤氏)
学生の声からもサイバー大学ならではの特長が見えてくる。製造業の大手企業に勤務する釣部寛太氏は、最新のAIやIoTを学ぶために入学した。本業と並行して学修を続け、現在は4年次に在籍している。釣部氏はAI、ソフトウェア、情報セキュリティのゴールドオープンバッジを含めて10個のオープンバッジを獲得済みだ。同氏は入学の理由を次のように語る。
「日本の製造業は海外と比べるとIT化やDXが遅れています。勤務先はRPAやノーコードツールでデジタル化を進めていますが、データの収集方法や活用方法に課題があります。データを1カ所に集約して効果的に活用できる仕組みづくりが必要だという危機感がありました。新規事業の立ち上げに関わる中で、AIを活用した製品開発やデータサイエンスの知識を身に付け、会社のDX推進に貢献したいと考えました」
サイバー大学を選んだ決め手は、生涯学習の機会を確保できる点にもあった。「卒業後も必要に応じて学び直せる環境が整っているのが、他の通信制大学とは異なる特長でした」と釣部氏は振り返る。同大学は卒業後に科目等履修生として再入学できる制度があり、新たな分野の追究やキャリア形成といった学び直しの場として活用できる。
入学後に感じたメリットとして釣部氏は、授業で学んだことをビジネスと結び付けられる点や体系的な知識を身に付けられる点を挙げる。
「独学だと業務に関係のある知識の習得が中心で断片的になりがちです。サイバー大学は周辺情報も含めて体系的に学べます。仕事でデータベース構築の課題に直面したときは、履修済みだった安間先生・藤澤先生の『データベース論』でデータベースの正規化に関するパートを見直して解決に導きました。理論と実践の両面から学べ、実務にも生かせる環境は非常に貴重です」
サイバー大学では学修の進捗(しんちょく)に応じて段階的に専門性を深められるだけでなく、学びの過程で見つけた新たな興味や可能性に応じて学修の軸足を柔軟に移行できる。このような学修体制は、学生の成長にも影響を与えている。釣部氏も「入学当初はプログラミングやAIなど興味がITに寄っていましたが、学びを進めるうちにビジネス領域に軸足を移しています。ITとビジネスを網羅した高い視座で物事を見られるようになりたいと考えました」と自身の変化を語る。
釣部氏は、サイバー大学での学びを生かした今後のキャリアについても明確なビジョンを持っている。
「まずは今携わっている新事業を成長させることが、ここ2、3年の目標です。その先の人生を見据えて、新事業の延長線上での起業も視野に入れています」
新たなキャリアにチャレンジするには慎重な判断も必要だ。だからこそ地に足のついた学びと準備が重要だと釣部氏は語る。
サイバー大学は卒業要件として、少人数で行うゼミナールの履修を定めている。ゼミナールは卒業研究によって、学生がそれぞれの興味関心や業務経験などに結び付いたテーマで調査や研究を実施する、サイバー大学での学びの集大成だ。例えばAIのゼミナールは、地方の過疎化対策として自動運転技術の可能性を探る研究や、宿泊施設の口コミデータをテキストマイニングで分析してサービス改善につなげる研究などを行う。
「いわゆる卒業論文のようなもので、現実の課題を抽出して、これまで学んだ知識と技術を使ってどのように解決に導けるかを考えます。口コミ評価の分析では単にワードクラウドなどで可視化して終わりではありません。批判的な評価に含まれるキーワードを抽出して具体的な改善提案につなげていくなど、ビジネスや自分の課題解決に役立てるための目標を設定して、適切な可視化をするシステムの構成を考えたり実際の構築ができるよう指導を行います」(藤澤氏)
2007年の開学以来、多くの学生が卒業して次のステージへと進んでいる。「特に社会人はオンラインの学びだと時間の確保が難しく、在学中にさまざまな調整をして学びを進めています。これを乗り超えた皆さんは卒業時にキラキラしているのが印象的です」と語る藤澤氏。「今不安や悩みを抱えているという状況でも学びを通じてはっきりしてくることもありますし、知識やスキルの習得によって選択肢も増えていきます。学びで自分の発想を豊かにしていけるので、AIを深く学びたい方だけでなく、ビジネスツールとしてAIを活用したい方、そしてIT全般に興味がある方に飛び込んできてほしいです」と呼び掛ける。
釣部氏も「何をしたらいいか分からないときこそ、勉強が重要です。社会には課題解決のヒントが散らばっていて、それに気付く感度を持つには知識が必要です。ある程度の社会人経験を積み、この先どうしようかと悩んでいる人こそ、もう一度学び直してみてはどうでしょうか」とメッセージを送る。
ITの進化はビジネスの現場に大きな変革をもたらしている。その最前線で求められるのは、ITとビジネスの両方を理解して実践できる人材だ。サイバー大学は充実した教育プログラムと柔軟な学修環境を通じて、そうした人材の育成に取り組んでいる。働きながら学べる環境は整っている。後は、一歩踏み出す勇気を持つだけだ。
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提供:株式会社サイバー大学
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2024年12月21日